熊本地震「善意を潰す不謹慎狩り」は大問題だ 無自覚な"ネット自警団"が日本をダメにする

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結局のところ、こうした不謹慎自警団は”タレントの影響力”の行使が気に入らないだけなのだろう。そこには嫉妬心しか存在しない。

ツイッターのつぶやきは、相手に届くほど魅力を持たない声までが、拡声器のように大きくなって届いてしまうことがある。グチや他人の悪口ばかり書いている人の言葉は、現実社会では無視される。しかし、短く切り取られた1つのツイートに分解されたとき、タイミングや周囲の状況などによって、必要以上に刺さる言葉として相手に届いてしまうことがある。

「発言力を行使するためのハードル」が極めて低くなっていると見なすこともできるだろう。ソーシャル時代のコミュニケーションにおける、こうした変化は決して悪い側面ばかりではない。従来は拾われてこなかった声が、拾われやすくなっている面もあるからだ。

しかし、何を言われようとくじけてはならない。世の中のために役立つのであれば、自信を持って行動すべきだ。

企業からの寄付金も偽善なのか

たとえば、各種ポイントサービスの義援金・支援金への交換サービスは、見る角度によっては偽善と捉えられなくもない。なぜなら、各種ポイントの義援金・支援金交換サービスには、サービス提供側にも大きな利点があるからだ。

ポイントサービスは、発行している企業のバランスシートに負債として計上される。現金預かりと計上すると、税制上の問題があるからだ。単純化して説明すると、負債として計上している金額とほぼ同額を引当金として損益計算書に損金計上している。

つまり、たまったポイントを寄付金にするということは、寄付する金額分の引当金を損金計上できるだけでなく、税控除にも利用できるわけだ。簡単に言えば、顧客からの借金をなかったことにした上で、同額を自分名義で寄付して税控除の対象にもなる。

では、これは偽善であり、自粛すべきスタンドプレーなのだろうか。

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