吹かぬ追い風 政権復帰への自信と不安 落選、新人候補の今
「選挙のたびに人口が25%移動しており、その時々の政治的関心によって票が大きく動く。東京では地盤を継承することが概念として成り立たない」。都内の25選挙区のうち、前回総選挙の小選挙区で民主党に競り勝った自民党代議士は、17区の平沢勝栄氏ただ一人。自民党に吹いた逆風がいかに激しかったかの証左だ。
地元の支持者にはグローバルに活躍する企業人や経営者階層が多い。「そういう人は目先の政治には関心がなく、10年先、20年先の日本の社会や経済構造に関心がある。そこへの道筋を見せてくれる政治グループでないと、本当の意味での期待はできない。今の自民党は、どこかの党よりマシという意味で応援されているだけで、自民党なら絶対大丈夫という政治グループとして応援してもらえてはいない」と越智氏は語る。
「けしからん」で動く風潮への危惧
「本当は消費税論議でも、中福祉中負担と低福祉低負担のどちらを選ぶかという議論にしないといけないのに、『高福祉低負担が実現できます』という、つじつまの合わない主張が出る。有権者に痛いことも言えないと、永遠に青い鳥を追いかけることになる。それでは政治の意味がない」。そう話すのは、神奈川7区の前代議士、鈴木馨祐氏(35)だ。
鈴木氏は前出の木原氏同様、旧大蔵省出身。05年の選挙では比例区単独候補として初当選したが、09年は民主党の現職、首藤信彦氏に5万票近い差をつけられ、涙をのんだ。
3年前の大敗北を受け、自民党は党改革を進めてきた。鈴木氏が最近気になっているのが、やや「右」に振れすぎ、「けしからん」で動くような最近の自民党の風潮だ。「たとえば、靖国参拝にしても、それぞれの戦争で命を落とされた方に感謝するなら、8月15日だけでなく、春と秋の例大祭に行くべき。今の動きはけしからんやつに見せつけてやろうという政治パフォーマンスにすぎない」。