吹かぬ追い風 政権復帰への自信と不安 落選、新人候補の今

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ただし、「風」で大きく議席数が揺れるのが、昨今の選挙の特徴だ。自民党に対する「追い風」について、慎重な姿勢を崩さない前職も多い。

東京20区(東村山市や東大和市など)から出馬する木原誠二氏(42)も、その一人。旧大蔵省出身で、05年のいわゆる郵政選挙で「小泉チルドレン」の一人として初当選を果たした。しかし、09年の総選挙ではチラシを有権者に何度渡しても突き返され、「7割方が門前払い」。今回そうした厳しい逆風が一変したかに見えても、「民主党はもうこりごり。だからといって本当に自民党なのか」と、有権者が自民党に回帰しているように見えても、あくまで消極的な支持だと冷静に分析する。

有権者への響きが弱い自民党の政策

9月から10月初めにかけては領土問題への関心が高まった。今はそれも落ち着き、集会を開くと、雇用や景気に対する有権者の高い関心を痛感する。「今回は自民党が変わった姿を見せるチャンス。だが、まだセットで打ち出せていない」。

自民党は10年間で200兆円を投ずる国土強靭化基本法案を提案している。木原氏は「次期政権の政策の柱は国土強靭化と中小企業対策だろうが、自民党の政策はまだ響きが弱い」。単なる公共事業や災害に強い街づくりだけだと、結局バラまきに堕してしまう。公共事業の必要性を否定するわけではないが、出し方を工夫してほしいと感じている。

一方、都市部における選挙の難しさを痛感しているのが、首都圏で最大規模の有権者数を誇る東京6区(世田谷区)から出馬する越智隆雄氏(48)だ。

越智氏は、父親が経済企画庁長官などを務めた越智道雄代議士で、祖父に福田赳夫・元首相を持つ、いわゆる2世、3世議員だ。住友銀行を経て、引退した父親と同じ選挙区から03年の総選挙に初出馬。05年総選挙で初当選したが、前回総選挙では前厚生労働相の民主党の小宮山洋子氏に7万票以上の大差で敗れた。

 

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