政権交代の研究 自民党は変わったのか?
選挙制度の見直しと吹かぬ自民党への追い風
94年に小選挙区制度が導入されて以来、これまで5回の総選挙が実施された。その結果、09年の総選挙で本格的な政権交代が実現した。しかし、政治がよくなったと実感している国民は少ないだろう。
小選挙区制度における二大政党の主要政策に大きな違いは出にくく、過半数の得票を得るために、口当たりのよい政策を提示しがちだ。その時々の「風」で選挙結果がコロコロ変わり、当選1回の新人議員ばかりになってしまう──。こうした反省を原動力に、中選挙区制の復活を求める声が永田町で広がりつつある。
超党派の国会議員で作る「衆議院選挙制度の抜本改革をめざす議員連盟」の代表世話人を務める自民党の加藤紘一代議士は「これからの日本政治は、二つの保守政党が中核になって、それに議席数10~30程度の中小政党がテーマごとに連立を組むようになる。そういう政治には中選挙区制度が望ましい」とみる。
近く政権に復帰する可能性が高いとはいえ、自民党に吹く風は「逆風ではないが、必ずしも追い風ではない」(落選中の前代議士)。前回総選挙で自民党を支持した業界団体からは「消費増税法案を通した野田首相の評価がむしろ高い。数ある政党の中で、今いちばん政策が合うのは党内で違うことを言う人のいない公明党」(日本建設業連合会)という声すら上がる。自民党はこうした空気の中、「近いうち総選挙」で政権復帰を目指すことになる。
(本誌:山田徹也、野村明弘、許斐健太 =週刊東洋経済2012年10月20日号)
※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら