焦点は“コンプガチャ後”の戦略 グリー、DeNAの正念場

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中堅開発会社・KLabの真田哲弥社長は、6社の連絡協議会が定めたガイドラインは「ソーシャルゲームを完全否定するもの」と憤慨する。そのため「既存のプラットフォームも大事だが、今後はゲームの性能が上がり、業界の自主規制が及ばない『アップストア』(アップル)や『グーグルプレイ』(グーグル)向けに提供タイトルを増やす」と語る。連絡協議会のガイドラインは、あくまで国内プラットフォームにおける決めごとだ。アップストアやグーグルプレイは規制の空白地帯となるため、開発会社にとって自由度が高い。

たとえばガチャ課金を行う際の「確率表示」。9月1日からガイドラインが運用されているが、各社の対応はまちまちだ。「透明性確保のため、確率表示はできるだけ行うべき」(6社連絡協議会の副座長を務める英知法律事務所の森亮二弁護士)。

日本オンラインゲーム協会の川口洋司事務局長は「従来型携帯電話ではグリー、モバゲーが100%監視できていたが、スマホになるとカバー率は4~5割まで下がる」と予測する。「今後は開発会社を巻き込んだ規制作りが必要になる」と言うが、開発会社にとっては死活問題。どこまで実効性があるか未知数だ。

ガイドライン自体にも批判がある。未成年の利用限度額は18歳未満(DeNA、グリーは19歳未満)が月額1万円、15歳以下が月額5000円とされたが、グリーのアドバイザリーボードのメンバーでもある、千葉大学教育学部の藤川大祐教授は、「保護者の観点から言えばこれでも設定が高い。未成年が使う際は書面で保護者の承認を取るか、完全無料にするなどの措置が必要」と警鐘を鳴らす。子どもが親の携帯電話を使いガチャを回す危険性もあり、「射幸性を高めない課金手法が必要だ」。 

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