ノーベル平和賞のEU、欧州統合の歴史【1】
経済統合が開始されてから20年以上経つ80年代になっても、国境には検査を受けるトラックの列が長々と続いていた。関税が撤廃された後も、各国はそれぞれの伝統的あるいは固有の法律を盾に、自国の産業を保護しようとした。国境では依然として、国家利害が統合の進展を妨げていたのだ。
欧州統合の道のりは、統合の深化が時代的要請から進んでいく一方、国家主権をめぐる対立でしばしば停滞する。ユーロ諸国の財政統合がなかなか進展しないのも、その延長線上にある話である。
50年代から70年代にかけ、ESCS、EEC、EC誕生、EC拡大へと進んだが、その先には停滞が待っていた。停滞の壁はどうやって乗り越えることができたのか。停滞を象徴する国境の風景が一気に変わったのは、80年代半ばだった。(【2】へ続く)
(ジャーナリスト=伴野文夫)
東洋経済は本稿を含む欧州連合(EU)や通貨ユーロの理念や成立までの歴史を検証した「日本人のためのユーロ危機入門」(=下写真=)を9月28日に発売している。
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