作業がはかどる「朝の30分」こそムダ話に使え 「仕事だけの組織では、仕事が行き詰まる」
年間130~140%もの急成長を続ける「ヤッホーブルーイング」。既存のビールメーカーが手をつけなかったエールビールを主力製品に据え、「宴」「超宴」といったイベントで集客するなど、独自路線で業界を震撼させている。この急成長を支えるのが、「朝礼なのに仕事の話はしない」に代表される、ユーモアに富んだ独自の体制作りだった。
「お通夜」のような社内の雰囲気を劇的に改善させた「奇策」の数々を、井手直行社長の新刊『ぷしゅ よなよなエールがお世話になります』の構成を担当した経済ジャーナリストの夏目幸明氏が解説する。
「お通夜」からの脱却を目指せ
社長の井手氏には、忘れられない光景がある。
2000年代中盤、井手氏がまだ通販担当者だった頃、同社のビールは父の日に爆発的な需要を得はじめていた。ビールを贈る側は「サプライズ感はほしいが、意外すぎるものを贈ってがっかりさせたくはない」という思いを持っている。このニーズに「よなよなエール」はじめ、同社のビールがはまったのだ。ところが……。
「忙しくなりすぎ、私が『皆さん、大変な仕事をお願いしちゃってすみません』とお詫びしてまわるような状況だったんです」
製品は売れ始めていた。社内の誰もが、自分の仕事と決められたことは真面目にこなしていた。だが、雰囲気が暗かった。
「朝礼を実施しても、当時いた20人弱の社員みんなが『特にありません』『私も』と、なんの会話もなく終わってしまうことが多かったんです。私が『せめて今日1日、何をやるか話しましょうよ』と言っても『通常業務です』『私も……』と流されていく(苦笑)」
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