作業がはかどる「朝の30分」こそムダ話に使え

「仕事だけの組織では、仕事が行き詰まる」

「仕事の話はしない」という、ヤッホーブルーイングの朝礼の様子。井手社長(右)の狙いに迫る
年間130~140%もの急成長を続ける「ヤッホーブルーイング」。既存のビールメーカーが手をつけなかったエールビールを主力製品に据え、「宴」「超宴」といったイベントで集客するなど、独自路線で業界を震撼させている。この急成長を支えるのが、「朝礼なのに仕事の話はしない」に代表される、ユーモアに富んだ独自の体制作りだった。
「お通夜」のような社内の雰囲気を劇的に改善させた「奇策」の数々を、井手直行社長の新刊『ぷしゅ よなよなエールがお世話になります』の構成を担当した経済ジャーナリストの夏目幸明氏が解説する。

「お通夜」からの脱却を目指せ

ずっと赤字だったのに、なぜ11期連続増収増益の会社に変われたのか? 37歳からの挑戦で数々の奇跡を起こした挫折と再生のストーリー。読む人によって感動ポイントが変わる十人十色のビジネス書です!

社長の井手氏には、忘れられない光景がある。

2000年代中盤、井手氏がまだ通販担当者だった頃、同社のビールは父の日に爆発的な需要を得はじめていた。ビールを贈る側は「サプライズ感はほしいが、意外すぎるものを贈ってがっかりさせたくはない」という思いを持っている。このニーズに「よなよなエール」はじめ、同社のビールがはまったのだ。ところが……。

「忙しくなりすぎ、私が『皆さん、大変な仕事をお願いしちゃってすみません』とお詫びしてまわるような状況だったんです」

製品は売れ始めていた。社内の誰もが、自分の仕事と決められたことは真面目にこなしていた。だが、雰囲気が暗かった。

「朝礼を実施しても、当時いた20人弱の社員みんなが『特にありません』『私も』と、なんの会話もなく終わってしまうことが多かったんです。私が『せめて今日1日、何をやるか話しましょうよ』と言っても『通常業務です』『私も……』と流されていく(苦笑)」

次ページ影響は必ず仕事の細部に及ぶ
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 買わない生活
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 意外と知らない「暮らしの水」ウソ?ホント?
  • 財新
トレンドライブラリーAD
人気の動画
地方スーパーが撃沈「コスモス薬品」の破壊力
地方スーパーが撃沈「コスモス薬品」の破壊力
パチンコホール「ガイア」店舗撤退で大激変する勢力図
パチンコホール「ガイア」店舗撤退で大激変する勢力図
日本人が知らない「ビタミンD」不足の怖さ
日本人が知らない「ビタミンD」不足の怖さ
「上司の品格」を疑われる、やってはいけない7つの質問
「上司の品格」を疑われる、やってはいけない7つの質問
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
SDGsが迫る企業変革<br>ビジネスと人権

サプライチェーンの中で起きる人権侵害への意識が高まっています。欧米では法制化が着実に進展し、企業に対し人権リスクの把握と対策を求める動きが顕著に。欧米に比べて出遅れている日本企業の現状を多角的に検証します。

東洋経済education×ICT