このままだと5月はかなり厳しい相場になる 市場の期待を裏切ったG20と産油国会合
市場の大きな関心事だった先週末の「二大イベント」が、市場の期待と全く逆の結果をもって終了した。ひとつはG20、もうひとつは産油国会合である。これらのイベントを契機に、18日の東京時間帯のマーケットでは株価が急落し、日経平均株価は前週末比572円安の1万6275円で取引を終え、原油相場も大幅安となった。再びリスクオフ的な動きに転換するのかどうか、週初から市場関係者や投資家は不安なスタートを迎えることとなった。
日本はG20で米国に言い分を聞いてもらえず
G20については、すでに様々なところで報じられているため、詳細の解説はしないが、報道を見る限り、市場関係者の期待は大きく裏切られたと言わざるを得ないだろう。G20では、「パナマ文書」に関する議題に時間が割かれた。その一方で、為替相場安定の重要性も確認している。
また世界経済については、「成長は緩やかでばらつきがある」と指摘しつつ、金融市場の変動などを理由に「リスクや不確実性が残っている」と懸念を示した。為替に関して少し細かく言うと、「為替レートの過度な変動や無秩序な動きは経済・金融の安定に悪影響を与え得る」とし、これまでのG20声明と同じ表現が明記された。つまり、過度な為替の動きはけん制するが、「通貨の競争的切り下げを回避する」ことを強調している。
ルー米財務長官はG20後の会見で、「日本は通貨安競争の回避をうたったG20声明の順守を改めて強調した」とし、「その意味合いは大きい」と発言。その上で、「円高ではあるが、市場の秩序は保たれている」として、現在の円高は急激なものではないとの認識を明確にした。
日本政府はG20で円高是正のための円売り介入を認めてもらうため、様々な工作を試みたとみられる。だが、結果的に米国サイドに一蹴された格好である。G20前には、麻生財務相は現在の円高を「過度な変動」としていたが、結局は全く聞き入れてもらえなかったことになる。
また、「マイナス金利は円安に結びつく」と豪語していた黒田日銀総裁も、「為替は財務省の専管事項」と完全に及び腰になり、これまで積極的に行ってきた為替市場への言及を避けている。G20を受けて、27・28日の日銀金融政策決定会合での追加緩和の可能性も大きく低下したことになり、今後のドル円相場は、11日につけたドルの下値である107円台後半を割り込む、つまり円高ドル安になるリスクが高まっている。
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