このままだと5月はかなり厳しい相場になる

市場の期待を裏切ったG20と産油国会合

一方、産油国会合の結果も市場の期待を大きく裏切った。17日にカタールのドーハで開催されたOPEC加盟・非加盟国による増産抑制に関する会合では、2月に主要産油4カ国(サウジアラビア、ロシア、カタール、ベネズエラ)が合意した内容について、他の産油国も巻き込みつつ、産油量を抑制することで需給バランス改善を図り、原油価格を押し上げようと目論んでいた。

しかし、結果はサウジの身勝手な見解が示されただけで、増産凍結合意には至らなかった。会合前にはサウジとロシアが「イランが参加しなくても合意は可能」との認識で一致したとの報道があっただけに、市場の期待が完全に裏切られたと言える。そもそも、サウジがなぜここまでイランの参加にこだわるのか。その背景には、イランとの宗教的な対立だけでなく、米国との関係の変化も大きく影響しているものと思われる。

つまり、こうだ。シェールオイルの生産拡大により、世界最大の産油国になりつつある米国は、中東情勢への関心を大きく低下させている。中東からの石油輸入を必要としなくなりつつある中、米国はイランに対する経済制裁を解除し、ビジネス上の関係構築に動き出しているもようである。「世界の警察」の立場も放棄しつつある一方で、これまでのサウジとの関係が希薄になりつつある。

またシェールオイルの登場で、サウジの市場シェアは低下、原油価格の下落が同国の財政を痛めつけている。これらの面からも、米国に対するサウジの憤りが見え隠れする。そんな中で、イランだけが増産抑制合意に参加せず、産油量を拡大させていい思いをするのは許せないという結論になったのだろう。

財政出動でも企業業績は回復せず、株は戻り売りが賢明

米国の中国への警戒感を背景に、日本は円高を許容せざるを得なくなった。また産油国会合が破談に終わったことで、原油価格の下落リスクが再燃した。これらを受けて、リスクオフの動きが強まり、米国株が下落に転じるようだと、結局は「原油安=株安」というロジックが再度持ち出され、リスクオフモードが再燃する可能性がある。これから5月という株式市場にとって重要な時期に向け、非常に難しい局面を迎える。

特に日本は「円売り介入はダメ」、「通貨安競争はダメ」と米国から釘を刺されている。追加緩和やマイナス金利幅の拡大もきわめて難しい状況に追い込まれたいま、やれることは財政出動に限られるだろう。

その時期はサミット前後というのが一般的のようだが、これを契機に少々株価が反発したところで、肝心の企業業績が回復するわけではない。円高が止まらなければ、日本株の理論値は低下傾向を辿るだけである。

財政出動への期待は高まる一方だが、その内容や効果に期待するよりも、現実を直視することが肝要であろう。外国人投資家が財政出動の内容を高く評価し、日本株を買い直すのであれば話は別だが、それまではやはり戻り売りが賢明であろう。

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