韓国で与党議員が反財閥法案提出 経営破壊に財界が不安
実践会には、思わぬ援軍も飛び出た。民主統合党の経済民主化推進議員会は、セヌリ党の経済民主化実践会に協調を呼びかけたのだ。実践会の法案がどういう性格のものかが、これで一目瞭然となった。
特に4号法案には、セヌリ党議員22人が署名している。この法案が現実のものになれば、系列会社のなかに金融会社がある大企業のトップが横領や背任で5億ウォン(1ウォン=0・07円)以上の利益を得た場合、その金融会社は当局から厳しい審査を受けることになる。
財界はこの法案に反対している。全国経済人連合会(全経連)関係者は「基準が不明確な背任を幅広く適用する場合、経営判断の自由を侵害するおそれがある」と指摘する。しかし、この法案は国会を通過する可能性が高い。民主統合党も似たような法案を発議しており、審議中に法案が統合されて国会を通過するとみられているためだ。
実践会はさらに、5号法案も用意している。これは、「金産分離(金融資本と産業資本の分離)の強化」が主な内容だ。当初、実践会はこれを4号法案として出す予定だったが、党内の反対に遭い頓挫していた。ところが、朴槿恵候補があるラジオ番組で「金産分離は現政権が緩和させたが、これを再検討する」と発言。これが追い風となり、5号法案を出すことになったという。
この5号法案は、財閥の金融系列会社に対する議決権を大幅に制限、金融会社の非金融系列会社の議決権を現行の15%から5%に制限、産業資本の銀行株式所有限度を現行9%から4%にする、といったものだ。
財閥規制強化が大統領選での公約に
すでに、特定企業を狙った発言も出ている。セヌリ党のキム・サンミン議員はサムスン生命が持つサムスン電子に対する議決権を制限し、中間持ち株会社の形態に転換させて双方の持ち株会社への相互出資を原則的に遮断する」と述べた。金産分離法案は、大企業の支配構造を変えうることを示したものだ。