大前研一「国内メディアだけ見る人は危ない」 依然、国内シェアで一喜一憂する情けなさ

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こうした中で絶対に必要なのは、「自分で考える力」です。疑問を持ち、自分で調べ、この国の経済がどれくらい大変な状況なのかを知る。そして、自分の判断で生きていく工夫をしなければなりません。

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2014年に起こった韓国の旅客船「セウォル号」の沈没事故では、沈んでいく船の中の様子を撮影した動画が世界中に流れました。船が傾いてどんどん水が入ってきているのに「部屋の中にとどまってください」というアナウンスが流れて、高校生たちが船内でじっとしている。ところが船長は先に脱出して救助されていました。

例えばあの事故が日本で起こっても、大多数の人は言われるまま船内にとどまるのではないかと思います。しかし、それがドイツやアメリカであったら、結果は変わっていたかもしれません。「こんなに水が入ってきているのに部屋にとどまるのはおかしい」と言って、外に出る人間がたくさんいたはずです。

危機に直面したとき、「これはおかしい。俺は言いなりにならない」と自分の考えで脱出することができるかどうか。これからの日本で求められる最も重要なことは、その一点につきます。皆が右へ倣えの状況でも「私は違うと思います」と言ってみる。まず疑問を持ち、自分で証拠を集めて自分の意見を形成する。この能力を、とにかく磨いてください。

自分で世界を見て、自分で解決策を考える

私は多くの企業人や経営者を対象に、様々なセミナーや講義を行っていますが、こうしたセミナーにおける一貫したテーマとして、「グローバル」というものがあります。なぜグローバルかというと、私が参加者の皆さんに伝えようとしている基本的な軸というのが、「日本がなぜいつまでも低迷しているのか」というところにあるからです。

つまり、世界全体を眺め、今の日本を世界と比べてみることによって「世界で何が起こっているのか」を知り、その上で「日本がよくならない理由は何なのか?」また「日本がよくなるヒントが、どこかにないのか?」という本質的な問題についての解決策を見出していこう、ということです。

さらに「世界における競争力をどうつけていくのか?」「自分たちはそこに向かって進めているのか、キャッチアップしなければならないのか」「それによって我々はその生存さえも危うくされるのか」、そういうことを自分の頭で考えていくことが非常に重要です。

危うい日本をいかに再生させるか。それは国内メディアのニュースだけを見て日本経済が分かったかのような勘違いをすることなく、あなた自身の目と耳と頭で世界を知り、あなた自身が解決策を考える以外に方法はないのです。

大前 研一 ビジネス・ブレークスルー大学学長

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おおまえ けんいち / Kenichi Omae

1943年福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号、マサチューセッツ工科大学(MIT)大学院原子力工学科で博士号を取得。日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年に経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社後、本社ディレクター、日本支社長、常務会メンバー、アジア太平洋地区会長を歴任し、1994年に退社。以後も世界の大企業、国家レベルのアドバイザーとして活躍する傍ら、グローバルな視点と大胆な発想による活発な提言を続けている。現在、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長およびビジネス・ブレークスルー大学大学院学長(2005年4月に本邦初の遠隔教育法によるMBAプログラムとして開講)。2010年4月にはビジネス・ブレークスルー大学が開校、学長に就任。日本の将来を担う人材の育成に力を注いでいる。

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