大前研一「国内メディアだけ見る人は危ない」

依然、国内シェアで一喜一憂する情けなさ

日本企業は国内競争が強すぎて国内ばかりを見て国内競争に一喜一憂し、日経の記者が来るとニコニコ笑いながら解説をしてあげる。そんなことをやっているから世界が見えなくなるのです。つまり、日経をよく読むと世界が見えなくなる、国内メディアだけでニュースを見ていると経済オンチになる、ということです。

アメリカ企業の課税逃れ、台頭する21世紀企業

今、日本のメディアを「パナマ文書」がにぎわせています。課税逃れをしている個人、企業を暴露した機密文書が流出し、問題になっていると。こうしたニュースについても単に「ふーん、世界の大物が課税逃れをしているのか」というだけで終わってしまうと、ニュースの本質や、面白いところは見えてきません。

世界に目を向けてみると、アメリカ企業というのは「本当にアメリカ企業か」というくらい、自分の国に税金を払っていません。

アメリカのグローバル企業の多く、ブルーチップと呼ばれる優良企業の多くは、M&Aを通じて本社をアイルランドに移すなどして、アメリカの40%という高い法人税率を逃れています。アメリカ政府はこれを取り締まる方法がない状況です。

グローバル企業の課税逃れがどのくらいすごいのか、アメリカの経済誌『フォーチュン』が2015年11月1日号で「21世紀企業の特徴」という特集を組み、公表しています。それによると「世界企業の72%はタックスヘイブンを使っている。250兆円がオフショアに備蓄され、毎年20兆円以上が課税を逃れている」ということで、とんでもない状況です。アメリカの企業がこんなことをやっていて合法だというのは、日本では考えられないことです。

こうした流れの中で、今世界では「特定の国に所属する」という意識を持たない企業、スマホという、世界共通のシステムを使ったUberやAirbnbのような「本社は地球全体」という意識を持った企業が増加しています。

こうした世界の変化は日本ではあまり知られていないように思います。そのことと、日本のメディアが国内のことばかり見て報道していることは、無関係ではないでしょう。

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