スマートウォッチの「新顔」は何が違うのか 老舗GPSメーカーが日本市場に本腰

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ガーミンは技術進歩を小型化やデザインの洗練に使うのではなく、より深く各分野の専門家の意見やニーズを取り入れることに注力。そして生まれたのがトライアスロン用のGPS内蔵スポーツウォッチだった。

ラン、サイクリング、スイム。すべてのフィールドで、それぞれのトップアスリートと協業した成果を活かした結果、狭い分野とはいえトライアスリート向けウォッチ市場で90%を超えるシェアを持つに至った。

fenixはGPS内蔵スマートウォッチとして誕生

一方、fenixシリーズは高度計、気圧計、コンパスを搭載した登山家向けのGPS内蔵スマートウォッチとして誕生したが、その後、技術の進歩とともに多様な機能を統合。最新のfenix3Jは、ディスプレー、バッテリー、プロセッサーなどの技術進歩に伴い、腕時計型本体の中にアスリート向けウォッチの機能をすべて搭載することが可能となり、トライアスロン用ウォッチの機能がすべてカバーされている。また、自転車乗りに必須な「心拍計」やペダルの動力を表示する「パワーメーター」、ペダルと車輪の回転数がわかる「ケイデンスセンサー」などにも対応しているため、サイクルコンピュータの分野で高い評価を得ているガーミンの機能はすべて、このfenix3Jシリーズで利用できる。

アジア太平洋地区の営業戦略の企画立案を担当するセールスディレクターのトニー・アン氏は同社の強みを「登山やトレッキング、自転車、ランニング、水泳など、あらゆる分野に“本気”で取り組んでいるプロフェッショナルのアスリートと機能を共同開発し、それをハードウェアだけでなくクラウド上の分析アプリケーションに反映させ、突きつめてきたことだ」と話す。

アジア太平洋地区の営業戦略の企画立案を担当するセールスディレクターのトニー・アン氏

スマートフォンと連動する、「ユーザーインターフェースのひとつ」として位置付けられたスマートウォッチではなく、時計単独で各ジャンル向けに最高レベルの機能を提供していること。そして、何年にもわたって深いレベルでトップアスリートと機能を磨いてきたことが、彼らの強みということだ。

「“ガーミンがウェアラブル、スマートウォッチ分野に参入した”と言われますが、実際にはGPSを用いたランナーやトレッカー向けウォッチなどは、我々が生み出してきた製品なんです。各分野でより深い機能を搭載するため、あえて垂直統合し、独自OSの上にアプリケーションを作り込んできました」(アン氏)

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