ヤバすぎる経済学が教える成績向上の「裏技」 実験でわかった効果的なご褒美とタイミング

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生徒たちに、試験そのものをもっと真剣に受けさせられないか、それだけである。だから子どもたちには、事前におカネのことは話さない。試験を受けるべく子どもたちが席に座ったときに、点が上がったら20ドル賞金を出すよとサプライズで発表するのだ。

おカネのインセンティヴでどれだけ改善が見られるかを調べるために、生徒たちには賞金はすぐに支払うと知らせる。そうする代わりに1カ月後に支払うと言ったら、インセンティヴがまったくないので、結果は変わらない。何年も、あるいは何十年も先に報われるから、それで生徒たちは十分やる気になると主張している向きには、これは悪いニュースだ。

ダントツでいい結果が得られたのは、試験の前に生徒におカネを渡し、基準に達しなかったらそのおカネを取り上げる、というやり方をする場合だった。この結果は心理学者の言う「損失回避」と一致する。

幼い子たちだと、トロフィーとかブーブークッションとか、わいろに贈るならそういうオモチャのほうがずっと安上がりだ。でも、歳のいった子たちだと現金以外は効かなかった。

ハーヴァードを最優等で卒業した著者の家では?

成績のいい生徒に賞金を出すと、世間をどれだけ怒らせるか思い知って、僕らはびっくりした。苦情のメールやコメントが山のように届いた。ローランド・フライヤーはアメリカ中の街でおカネのインセンティヴを伴う実験をやって、同じように叩かれた。

ひょっとすると、僕らを批判する人たちは正しくて、僕のほうがどうしようもなく勘違いしてるのかもしれない。そんなことになったのは、中学から高校までの間、僕がAを取るたび両親が20ドルくれてたからなのかもしれない。

でもひとつ確かなことがある。当時、僕の収入といったら成績にかかわるわいろとポーカーで友達から巻き上げるおカネ、それだけだった。だからこそ僕は、おカネのインセンティヴをもらって、高校であんなに一所懸命勉強したのだ。

中流家庭には成績に基づいて子どもにおカネをあげる家がたくさんある。それなら、家の人以外が子どもたちにおカネをあげるのが、なんでこんなに叩かれるんだろう?

スティーヴン・D・レヴィット シカゴ大学経済学部教授

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Steven D. Levitt

40歳未満で最も影響力のあるアメリカの経済学者に贈られるジョン・ベイツ・クラーク・メダル受賞。ヤバい経済学流の考え方を企業や慈善活動に応用するグレイテスト・グッドの創設者。

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スティーヴン・J・ダブナー 作家・ジャーナリスト

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Steven J. Dubner

作家として表彰を受け、ジャーナリストとしても活動し、ラジオやテレビに出演する。最初の職業――あと一歩でロックスター――を辞め、物書きになる。以来、コロンビア大学で国語を教え、『ニューヨーク・タイムズ』紙で働き、『ヤバい経済学』シリーズ以外にも著書がある。

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