iPhone5で不安増すソフトバンクの電波不足

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ユーザー囲い込みを急ぐ

アイフォーン5は現在主流の3G回線より通信速度が速い「LTE」に対応している。ソフトバンクとKDDIは発売に合わせて新しい料金体系を導入した。パケット定額料金は両社とも5460円。ソフトバンクの場合、アイフォーン4Sより1050円引き上げた。

昨年、KDDIがアイフォーンの販売に参入した際、ソフトバンクのパケット定額料金はKDDIより570円安かったことが顧客獲得の武器の一つとなった。アイフォーン5で価格を合わせることでKDDIと差別化しにくくなる。それでも、なぜ踏み切ったのか。

それは、ここ数年で契約数を大きく伸ばし、「攻め」一辺倒から「守り」の姿勢に変わりつつあるからだ。アイフォーンを導入する前と現在を比較すると、契約数は約2倍に拡大(図)。KDDIの背中が見える位置まで成長した。12年3月期の営業利益は6752億円とKDDIの4776億円を上回っており、無理に競争を仕掛けなくても利益を稼げる土台ができている。

目下、重点を置いているのはKDDIへの顧客流出を防ぐこと。そのために実施するのが、業界初となるスマホの「下取りプログラム」だ。「アイフォーン5」に乗り換える際に、アイフォーン4Sなどを店頭に持っていくと、最大2万円の割引になる。下取りが適用されるのはソフトバンクの端末のみで、ユーザーを囲い込むのが狙いだ。

下取りで回収した端末は中古品として海外に転売し、割引のコストを一部回収する。SMBC日興証券の森行眞司アナリストは「今回はコストのかからない方法で顧客を囲い込んでおり、利用者も得をする仕組み」と高く評価する。

 

 

 

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