有利子負債13兆円! 都市再生機構(UR)は再生できるか

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資産評価に甘さ

13兆円にも上る負債を圧縮するための手段として真っ先に考えられるのは資産の売却だろう。

ところが、URが保有する物件は、50年代後半~70年代後半に竣工した団地が半数を占めるなど老朽化が進んでおり、買い手がつきにくいのが実態だ。

加えて、URの賃貸住宅では、セーフティネットの観点から低所得の高齢者世帯などに家賃の減額措置が適用されている。その総数は8・5万世帯に上る。居住者にしてみれば、自分たちの住んでいる団地が民間に売却されれば家賃が上がるのではないか、といった不安がある。安易に資産を売却しようとすれば、居住者の反発を招きかねない。

URの資産評価が民間の基準に比べて甘い、という側面もある。URは企業会計基準を適用しているが、配当や税金の支払いがない、資金調達は金利の低い財政投融資がほとんど、といった理由から、資産の現在価値を算出する際、将来のキャッシュフローを割り引くときに使っている割引率が2・5%と低い。つまり、民間に比べると資産価値が高めに評価されやすいのである。

資産売却がなかなか進まないとなれば、膨れ上がった負債を削減するには利益を拡大していく必要がある。

調査会が取りまとめた再編案では、高収益の賃貸住宅を保有・運営する事業会社と、低所得者向けの賃貸住宅、ニュータウン事業、都市再生事業の三つを手掛ける行政法人に分割し、資産と負債を両法人に振り分ける。

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