有利子負債13兆円! 都市再生機構(UR)は再生できるか

一つは事業会社と行政法人に、どのように資産と負債を振り分けるか、という点だ。これによって事業会社の収益力は大きく変わってくるうえ、採算のよい物件ばかりを事業会社に移せば、今度は行政法人に割り当てられた負債の削減が進まなくなる。

調査会では、平均月額家賃10万円以上で、入居者の所得水準などの条件面で恵まれている8・7万戸を事業会社に引き継がせた場合、20年間で約3・8兆円の有利子負債が削減できる、と試算している。行政法人の資産については、事業会社への業務委託や追加譲渡などのケースもありうる。

事業会社と行政法人の経営トップの人選にも注目だ。

URのトップは現在、オリエントコーポレーション元社長の上西郁夫氏が務めているが、その前はURを管轄する国土交通省出身の天下りだった。また経営の監視役を務める経営監理委員会がどの程度の権限を持ち、どう行使するのか、といった点も議論されることになる。

そもそも、事業会社のやろうとしていることは「民業圧迫」にほかならない。政府全額出資の特殊会社として当面は公的な資金調達手法も活用する。調査会では「行政法人の繰越欠損金等の解消を行ったうえで、事業の収益力や財務の健全性等を勘案して適切と判断される場合、速やかに株式売却等を行うこと」を想定している。しかし、負債削減のために収益の拡大を急ぐあまり、民間との競合が激しくなれば、批判は免れない。

一方で、大手不動産会社は都市再生を行う行政法人について、「長期にわたる大規模開発は、民間だけではリスクが高すぎて、なかなか手が出しにくい。事業会社からの収益移転がうまく進まなければ、再開発事業が滞るのではないか」と不安を漏らす。

URは「街に、ルネッサンス」というキャッチフレーズを掲げている。巨額の負債を抱える同機構が、文字どおり、再生(ルネサンス)できるかどうか。その道筋はまだ緒に就いたばかりだ。

(本誌:猪澤顕明 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2012年9月22日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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