園芸・ペット・LED照明 今、復興フロントランナー--大山健太郎 アイリスオーヤマ社長《中》

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「鯨のような」大型商品は、まるで「業態」の完成を待ち構えていたかのように出現した。LED照明である。本格的なLED照明についてはアイリスオーヤマは最後発。が、去年100億円の売り上げを今年300億円、再来年は1000億円に拡大する大方針を掲げている。

「マーケットはある。後はわれわれの努力次第。日本の照明を変えるには、それくらいやらないと、間に合わないでしょう」

ポイントは価格だ。LED電球の当初の価格は1個6000円だった。6000円になるのは、家電大手の値決めがコストを積み上げる足し算だから。アイリスオーヤマは値頃感から「逆算」する。「いくらなら買ってもらえるか。LED電球に替えれば白熱電球に比べ1年で2000円、電気料金を節約できる。なら、2000円で売ろう」。そこから先は、「業態」力の本領発揮だ。

「デパートメントファクトリー」を駆使し、極力内製化する。開発は伴走方式と称して、設計、購買、品質・特許管理のスタッフを一堂に集め、横一線でスタート。生産能力はつねに30%の余裕を持たせる、というのが設備投資方針だから、想定外の需要の急拡大にも即、対応できる。

(下に続く)=敬称略=

おおやま・けんたろう
最も重要な会議が「新商品開発会議」だ。毎週月曜日、大山が自ら主宰し、毎年1000アイテムの新商品を送り出す。「今、自動車を作れ、と言われてもできない。だけど、いずれ作るかも知れない。われわれが作ることによってお客さんが満足できるなら。やりたいかどうかではなく、主語はお客さん」。

(撮影:今 祥雄 =週刊東洋経済2012年9月15日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

梅沢 正邦 経済ジャーナリスト

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うめざわ まさくに / Masakuni Umezawa

1949年生まれ。1971年東京大学経済学部卒業。東洋経済新報社に入社し、編集局記者として流通業、プラント・造船・航空機、通信・エレクトロニクス、商社などを担当。『金融ビジネス』編集長、『週刊東洋経済』副編集長を経て、2001年論説委員長。2009年退社し現在に至る。著書に『カリスマたちは上機嫌――日本を変える13人の起業家』(東洋経済新報社、2001年)、『失敗するから人生だ。』(東洋経済新報社、2013年)。

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