「選択の科学」からみたトランプと大統領選 "選択"の専門家・アイエンガー教授に聞く

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「失うものがないのがトランプ氏の強み」とアイエンガー教授

――トランプ氏の戦略がうまいということですか。

ヒトラーと一緒ですね、目立つためにはいい戦略です。だけど、それも、信頼されている間まで。いったん信頼が失われてしまうと、もうその戦略は働かなくなってしまいます。だから、とてもリスキーな戦略なんです。

もし、もうちょっと控え目な人だったら、言葉を選ぶような人だったら、すごく退屈ですよね。(大統領選で)勝とうとしたら、トランプ氏のやり方しかない。負けたとしても、失うものはありません。知名度があがるくらい。

――失うことがないということが、トランプ氏の強さになっていると。

それが助けになっています。

「政党は三つぐらいがよいと思う」

――米国は二大政党制ですが、ほかの多くの民主主義国は多党制をとっています。選択の観点からみて、二大政党制は正当化できるのでしょうか。

少なくとも三つくらいの政党はあったほうが国にとってはいいと思います。なぜなら、三つのほうが、違いがよりわかるからです。

今回の大統領選挙で、民主党でも共和党でもない、第三の独立候補がようやく浮き彫りになるのではないでしょうか。しかし、ブルームバーグ氏は出馬しませんでした。もしトランプ氏が共和党の候補にならなければ、インディペンデント(独立系候補)として大統領選に出馬するでしょう。そうすると、共和党の票を食ってしまうので、共和党はトランプを離したくないのです。でも、二大政党だと差別化が逆に難しいかもしれません。

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