実態とかけ離れた「健康食品」の宣伝文句 DHAサプリから野菜系飲料まで徹底検証
若村氏が問題だと指摘した商品の中で、「緑の野菜」(伊藤園)および「野菜一日これ一本」(カゴメ)というネーミングの飲料を取り上げてみる。前者は「緑の野菜」と銘打っているものの、野菜汁は30%しか含まれておらず、実態は「野菜汁入り果実ジュース」。後者はこれ一本を飲めば厚労省が推奨している1日分の野菜摂取の目標値350グラムに含まれる栄養成分を賄えるかのように読めるものの、欠けている成分もあると若村氏は指摘した。
本誌は伊藤園とカゴメにネーミングに対する認識を尋ねた。
果汁が大半を占めているのに「緑の野菜」と銘打っていることについて、消費者は納得しているのだろうか。取材に応じた伊藤園の内山修二・商品企画三部長は「葉物系の野菜をおいしく召し上がっていただくように設計した結果が現在の野菜汁30%、果汁70%という割合」と説明した。内山氏はネーミングについて「頭の中では理解しにくいかもしれない」と認めたうえで、「(消費者庁の意見交換会などでの)ご指摘を踏まえて野菜汁の割合を50%の目標値に向けて高めていく努力をしたい」と語った。ただ、「緑の野菜」というネーミングについては、「ロングセラーでお客様に親しまれているので変えるつもりはない」という。
一方のカゴメは「野菜一日これ一本」のネーミングについて、「『野菜350g分使用』と表示しているとおり、これ1本に1日の野菜摂取推奨量(350グラム分)を使用して製造しているという意味です」と回答した。裏面に「加工によって失われる成分もあります」との表示をしていることを理由に、消費者に誤認をさせることにはならないとの認識だ。
このようなネーミングの是非をどう考えたらよいのか。「加工食品品質表示基準」第6条は、「次に掲げる事項は、これを表示してはならない」としたうえで、「その他内容物を誤認させるような文字、絵、写真その他の表示」を例に挙げている。