「カシオペア」は親子旅向け利用で再出発を! 北海道新幹線の開業で運行終了したが…

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室内に併設されている洗面室。パートナーが個室にいる状態でこのトイレを利用するのはちょっと抵抗も。親子連れには逆に最適だ(撮影:村上悠太)

もっと気になるのが、洗面室だ。フルサイズのトイレを装備しているが、客室に近すぎて落ち着かない。1人用個室ならこれでよいが、ここはツインルーム。

扉には鍵もついておらず、同行者に気兼ねして、つい車内3カ所にある共用トイレまで行ってしまう。また、カシオペアツインの場合室内にシャワーがなく、有料の共用シャワーを使うが、定員約160人に対して26人しか使えないというのも厳しい。

「カシオペア」用E26系客車は、24系など従来の寝台車への要望などを基に生活空間としての機能向上を図って設計された。「2つのベッドを平面に配置し、トイレと洗面台、一部グレードにシャワー室を装備する個室」という目標が先にあり、1両10室というある程度の乗車人員を確保するために知恵を絞った結果、このレイアウトになった。

筆者をはじめとする寝台列車ファンにとっては、その工夫を観察するのも大きな楽しみだが、特に鉄道ファンではない人から見た場合、二人で乗車券込み一泊約7万円の個室としては、どうだろうか。これがトイレを省いてベッドを並行に並べたB寝台個室だったら、また印象は違ったかもしれない。

「オールA寝台の豪華寝台列車」をうたいつつ、乗客にある程度の割り切りを求める。約10年ぶりに乗車した「カシオペア」からは、半世紀以上にわたって改良を積み上げてきた従来型寝台列車の限界が感じられた。そうした「割り切り」を排し、輸送力や低廉性を度外視して究極のおもてなしを目指した列車が、「ななつ星」であり来年登場する「TRAIN SUITE 四季島」なのだろう。

家族連れが目立った車内

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親子水入らずの旅を楽しむ野口理玖弘くん一家。こんな旅は新幹線やクルーズ列車では決して味わえない(撮影:村上悠太)

とは言え、やはり個室寝台の旅は楽しい。上野駅でお酒と旨いものを買い込み、個室のソファで誰にも邪魔されずにくつろいでいれば北の大地まで連れて行ってくれるというロマンは、新幹線や飛行機では決して味わえない。そんなに室内をうろうろする必要もなく、レイアウトに慣れてしまえば、抜群の乗り心地と相まって快適そのものだ。

運行終了が間近に迫った「カシオペア」だったが、乗客はレールファンばかりでなく、むしろ小さな子ども連れの家族が多かった。

埼玉県から来た野口聡子さんは、息子の理玖弘(りくひろ)くん、父親の浩さんと3世代での乗車。電車好きの理玖弘くんが乗りたがり、何度もみどりの窓口に並んだが全く取れず、旅行会社のツアーに申し込んでようやく取れたという。おじいちゃんも、乗車前に購入したというワインをテーブルにのせ、孫との水入らずの旅に楽しそうだ。

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