日本の生産年齢人口(15~64歳)は、1995年の8726万人をピークに少しずつ減少してきましたが、2014年の段階ではそれが7785万人にまで減少しています。とりわけ2012年から2014年(正確には2012年4月から2015年3月まで)の3年間は団塊世代が65歳に達するようになり、その減少幅が大幅に拡大しているのです。
2012年の労働力人口が17万人しか減少していなかったのに対して、2013年が116万5千人、2014年が116万人も減少し、2015年も過去2年と同じくらい減少する見通しにあるわけです(注:減少数は最新の数字に改定・2015年の減少数は4月に総務省が発表予定)。
2013年と2014年の生産年齢人口はともに前年比で1.4%台の減少をしているのですから、好不況に関係なく人手不足になるのは当たり前のことだったといえるでしょう。もともと生産年齢人口の推移を押さえておけば、2013年3月以降は失業率が低下傾向を鮮明にするなかで、それに伴い有効求人倍率が上昇傾向をたどるようになるのはわかっていたことなのです。要するに、「経済が好調だから、有効求人倍率は高水準が続いているのだ」という見解の問題点は、日本社会や日本経済の基本的な構造変化をまったく無視してしまっているということです。
新しい経済のパラダイムのもとでは、たとえ景気が良くなくとも、失業率の低下は起こりうる現象となりつつあります。これからは日本の失業率を見る時、今までと同じ経済のパラダイム、すなわち「景気が良くなる=失業率が低下する」というステレオタイプな見方がすべてのケースで通用すると考えてはいけません。日本の失業率が低下したとしても、景気の良し悪しとは切り離して検証してみる必要があるのです。
税収増は家計への二重課税が原因
安倍首相はアベノミクスの功績として、税収が大幅に増えたということも強調しています。2016年度の予算ベースでは、国の税収見積もりは2012年度に比べて15.3兆円も増えているからです。私が情けないと思うのは、これに対する野党の反論が「消費増税分を除けば、リーマン・ショック前の水準に戻っただけ」という主張であることです。このような反論はピントが外れてしまっていて、とても説得力があるものとはいえません。
上場企業が史上最高益を更新しているなかで、税収の増加は本当に企業活動が活発化して生まれたものなのかということを考えなければなりません。実のところ、日本企業の売上高の推移を見てみると、過去20年間でほとんど変わっていないということがわかります。
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