日本が「テロの標的」になる日が迫っている

ブリュッセル連続テロから学ぶべきこと

第4に、ベルギー政府の対応に問題はなかったか。前述したように、レンデルス外相はテロ攻撃の危険性を予知していた。しかし、ブリュッセルにおけるテロ警戒度は最高のレベル4から3に引き下げられていた。最高レベルの警戒態勢を長く維持すると住民の生活に与える影響が大きくなりすぎて困難だからだろうが、それにしても今から思えばベルギー政府の対応が適切であったか疑問が残る。

今後について肝心なことは「テロの襲撃を防ぐこと」だが、それはできるのだろうか。

まず、テロの襲撃対象だが、今回の犯行では、「防備の弱いところ」が攻撃されている。その結果として、無辜の市民が多数犠牲になった。パリの場合も同様であった。

空港では、搭乗手続きを終えた先のエリアにおける警備が厳しいが、それ以外の場所は無防備に近い。空港全体が厳戒態勢の下にある空港もあるが、それは例外的である。ブリュッセルに限らずほとんどすべての空港では誰でも自由にロビー内に入れる。日本でも同様だ。

空港よりも厳しいのが鉄道である。とくに地下鉄の駅は、監視カメラなどがあるとはいえ、どこも突発的なテロに対して無防備といえる。

一般的な犯罪は特定の人や施設を標的にするものだが、テロの場合は防備の弱いところが無差別的に攻撃される。つまり、襲撃の対象はだれでもよく、人が大勢集まっており、防備が弱ければ狙われるわけである。

「自発的参加型」のテロは監視が困難

次にテロ襲撃をする主体だが、今回もパリの時も過激派組織IS(イスラム国)が犯行声明を出しており、パリの犯行についてはフランス政府もISによる犯行だったと断定した。ブリュッセルのケースに関してはまだ若干の時間が必要かもしれないが、ベルギー政府も同様にISによることだったと断定する可能性が大きい。

しかし、今回の事件もパリの事件も過激派組織ISからの直接の指示で行われた犯行でないようだ。どうやら、犯行者が自発的に事件を起こした可能性が高い。米国でもそのような自発的参加型のテロ事件が起こっている。つまり、昨今のテロ襲撃は、犯行の主体も対象も特定しにくいのが特徴であり、それだけに未然に防止するのがきわめて困難だ。

しかし、打つ手がないと言ってあきらめることはできない。今後は「防御」と「自覚」が被害を少なくするカギだ。

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