湖池屋CM「コイケ先生」こと阿部サダヲは誰に語りかけている?《それゆけ!カナモリさん》

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

 商品はド定番商品のポテトチップスだ。1962年に湖池屋が全国で初めて量産化に成功した由緒正しい商品であるが、もはや独自性も新規性もないことは明らかである。CMの「コイケ先生」は、従来のオリジナルキャラクターで目をひいたり、印象的なコピーやフレーズで話題をさらうものでもない。コイケ先生を中心とした生徒や教師同士のやりとりを見て、少し考えさせてニヤリと笑わせるタイプの内容だ。からっと分かりやすいというより、どちらかというと少々ネチっこくてクセになるCMだと言える。つまり、「コイケ先生」シリーズは、従来と全く異なる商品とCMの連携パターンを展開しているのである。

 なぜだろうか。

■コイケ先生は誰に向かって訴えているのか

 スナック業界で考えれば、リーダー企業は「カルビー」であろう。板橋区、北区と同じく東京の城北地区に本拠を置く両社であるが、両社の売上げ規模は桁が一つ違う。矢野経済研究所が発表した2007年度の企業別シェア、スナック菓子部門では、カルビーが47.5%、続く湖池屋は11.3%となっている。

 湖池屋の戦いは、即ちカルビーとの戦いでもある。コンビニやスーパーの棚では常に両社の商品が競うように並べられる。特にコンビニなどの狭小店舗では、うっかりすると棚自体を失いかねない。そのため、チャレンジャーらしく商品でも、CMでも常にユニークさを前面に出して差別化戦略を徹底しているのだ。

 では、「コイケ先生」もカルビーとの戦いのために展開しているのか。店舗の棚を見ると実はそうではないことに気がつく。

 今日、コンビニやスーパーの棚を席巻しているのはプライベートブランド(PB)商品である。安さを武器に棚を我が物顔で占領し、湖池屋の商品は隅に追いやられている。まさしく、敵はPB商品なのである。

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事