ワイン造りの思想 その3 セパージュ(品種)主義《ワイン片手に経営論》第14回
■ワイン新興国に広がるセパ-ジュ主義
左の「ERRAZURIZ」は、1870年創業のチリでは伝統的で有名なワイナリーです。エラスリスの創業者は、スペインのバスク地方に先祖をもつ家系で、この家族からは4人の大統領と2人の大司教を輩出しています。チリが軍事独裁国家であったとき、ほとんどのワイナリーが国に接収されてしまいましたが、このワイナリーは、接収を免除されています。なお余談ですが、多くのワイナリーが軍事政権に接収されてしまったことは、チリ・ワインの質を低下させ、後々までチリ・ワインのブランドイメージを好ましくないものにしてしまった一つの理由となっています。
エラスリス・ワイナリーは、先ほどご紹介したロバート・モンダヴィともジョイント・ベンチャーを起こし、現在ではCaliterra(カリテラ)というチリ・ワインでも質の高いワインを生産しており、日本でも入手することが可能です。このエラスリス・ワインのラベルには、「CHARDONNAY」と大きくブドウ品種が記載され、その下に薄い字で「WINE OF CHILE」と産地が書かれています。
右の「CLOUDY BAY」は、ニュージーランド・ワインの質の高さを世界に最初に知らしめたといってよいワインです。ラベル下部に記載されている「SAVIGNON BLANC 2007」は、ブドウ品種の名前と生産年です。
これらのブドウ品種は、フランスでは、ロワール川上流のサンセール地方やボルドー地方で使われている代表的な品種です。
もうひとつ南アフリカのワインをご紹介します。こちらも、「Boschendal」という銘柄の下に、生産年である「2003」とブドウ品種である「Chenin Blanc」という記載が見えます。産地は一番下に単に「WINE OF SOUTH AFRICA」と書いてあるだけです。
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