『いまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ』を書いた吉川洋氏に聞く--二人の唱える経済学は水と油ではありません《09年上期ベスト経済書1位》

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『いまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ』を書いた吉川洋氏に聞く--二人の唱える経済学は水と油ではありません《09年上期ベスト経済書1位》

--ケインズとシュンペーターという、考え方が正反対とも言える二人の経済学者を一つの本で語ろうとしたのはなぜですか?
 
 学生時代から、私にとって、ケインズ経済学はいちばんピッタリくるもので、「ケインズの有効需要の原理があれば、短期の経済を理解するのには十分だ」と思っていました。

しかし、一般的にはむしろ、「新古典派経済学のほうが、中長期はもちろん、短期の経済を説明するのにも適している」と言って、ケインズ経済学を否定する人も多かった。

では、この水と油の二つの経済学の関係をどう考えるべきだろうか

--そんな問題意識を長年抱いてきた私に、二つの経済学をつなげるチャネルを与えてくれたのが、シュンペーターだったわけです。

ケインズは「需要が経済の状態を決める」と主張しています。たとえば、去年の10~12月になぜ、あれだけ経済が落ち込み、今年の4~6月はプラス成長になったかは、ほぼ100%ケインズの有効需要の原理で説明できます。だから、短期の経済ではやはりケインズが正しい。

では、中長期はどうか。ケインズの考え方は中長期でも重要というのが私の考えです。たとえば、供給面を重視する新古典派では、製品の価格は一定で、需要はいくらでもあると仮定しています。ただ、経済全体を見ると、つくった分だけ物が売れるという企業は例外的で、むしろ「需要がないからつくらない」というのが現実に近い。つまり、中長期にも、需要制約がある。そこで登場するのが、シュンペーターのキーワードであるイノベーションです。

中長期の経済成長にとって、いちばん大きな障害になるのは、既存の物やサービスに対する需要の頭打ちです。これは今、先進国経済における有効需要不足の根本原因です。

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