早くも参院選挙対策、民主党政権が生保で“ウルトラC”?
民主党政権がいよいよ始動した。初の政権担当とあって、経済政策の方針は見えにくいが、すでに目指す方向は定まっている。サラリーマン層の消費拡大だ。
衆院選で圧勝した民主党の標的は来夏の参院選。民主党は参院でも自民党を抑えて第一党だが、衆院のように過半数には届かない。しかし、参院選でも過半数を獲得できれば、今回連立を組んだ社民党や国民新党と手を切ることができ、政策運営の自由度は飛躍的に高まる。
民主党の政策には、ある共通点が浮かび上がる。家計への資金還流だ。高速道路の無料化や児童手当の拡充、高校無償化など、それぞれ道路行政の矛盾解消や育児支援などの目的が掲げられているものの、結局は有権者の懐に優しいものばかり。
ある民主党議員は、「政権交代で暮らしがよくなったと、国民が実感したまま参院選に突入するのが理想」と語る。自民党は民主党の政策をバラまきと批判するが、自民党への不信感は根強く、有権者の耳には届きにくい。
来年度までは埋蔵金(特別会計の余剰金)が税収不足を埋めるほか、低金利なので、それでも足りなければ国債追加発行も可能。国庫のやり繰りに支障はなく、財源論自体に訴求力は乏しい。
民主党は公共事業の大幅見直しを宣言している。確かに、話題になりやすい大型ダムや過疎地の高速道路建設には大ナタを振るう構えだが、公共事業自体をばっさり切り捨ててしまうわけではない。
道路は新設ではなく補修に力点が置かれ、学校の耐震化工事なども新たな公共事業として枠が増えそうだ。いずれも有権者から文句の出にくい領域である。建設業従事者は全就業者数の1割近くを占める。この大勢力を民主党は敵に回すわけにはいかない。来夏までは全力でバラまく政策が採られそうだ。