不動産屋は、どうして「怪しく」感じるのか 家を買う際に知っておくべき「業界の現実」
もちろん自社物件が悪い物件であるということではありませんので、冷静に自分にとってニーズを満たすものであればよいのです。ただし、販売側にそうした事情があることは頭の片隅に入れておいたほうがいいでしょう。
「一生のお付き合いですから」不動産を購入したことがある人なら、一度は営業マンから聞いたことのある言葉ではないでしょうか?
この言葉はつまり「売ることだけが目的ではありませんよ」と安心させたい営業マンのキラートークです。
しかし、実際に一生のお付き合いをしてくれる営業マンはそうはいません。なぜなら、そもそも転職の多い業界であること、そして大手であれば転勤が定期的に行われるためです。
もちろん、ハウスメーカーや不動産会社が建てた住宅を購入する場合には、法律で最低10年間の建物の基本構造部分や雨水の浸入を防止する部分の保証が売った会社からなされます。しかし、それを仲介した不動産会社にその責任はなく、契約をして引き渡しを終えて仲介手数料をもらえば、それ以後は何もしないのが一般的でしょう。
不動産会社の半数が10年で消滅している
また、衝撃的なデータもあります。不動産会社の10年後の残存率は50%程度であるというものです(一般財団法人不動産適正取引推進機構より)。つまり、半数の会社は、そもそも会社が10年後には存在しない確率が50%もあるということが、どういうことを意味しているかを考えるべきでしょう。
従って「一生のお付き合い」をするためには、その営業マンの熱意とかその会社の誠意という次元では不可能だと言えます。自分の会社がたとえ存続しなくなっても継続されるアフターサービスの仕組みを整備してこそ、その言葉が言えるのです。
マイホームなどの不動産に関するトラブルはつきませんが、その問題が発覚するのは、購入後早くて数年後、遅ければ10年以上経ってからになります。そしてほとんどの場合において、その時には会社がない……そうした問題がとても多いのです。
日本の不動産会社では、従業員5人に1人以上の宅地建物取引士(旧:宅地建物取引主任者)がいなければならないと法律で定められています。逆に言えば、5人中4人は資格を持たなくてもよいということになります。
もちろん、宅地建物取引士であれば安心で、そうでなければダメだと断言できるものではありませんが、極端な話で言えば、昨日までまったく関係のない職業にいた人が、ある日名刺をもってお客様の前で仕事をすることは、何ら問題のないことなのです。当然ながら大手不動産会社は、最低限この宅地建物取引士の資格を取らせるよう努めていますが、大手ではない不動産会社に至っては残念ながら、そこの部分について改善しようとしている会社ばかりではありません。
不動産業界のモラルの低さを指摘される場合が少なからず今もあるのは、こうした制度および不動産業界の意識の低さも大きな原因であるといえます。
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