不動産屋は、どうして「怪しく」感じるのか 家を買う際に知っておくべき「業界の現実」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

また、マイホームを探す場合には不動産広告を見ることになりますが、その広告にまつわる問題もあります。よくお客様から聞くのが「不動産屋が言う徒歩何分はあてにならない」という言葉です。どうでしょう? そんなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。

実際には、不動産広告を出す場合には厳しくその掲載基準が決まっており、先の分数表記については、80mで1分と表記することが定められています。もし駅から物件までの距離が80mを超えた場合、それが85mであっても、2分と表記するルールになっています。しかし、その程度の誤差であれば1分と表記されている場合が多いのが実情でしょう。ここにもモラルの問題が出てきます。

書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

冒頭、不動産会社は多額の広告費を払ってお客様を集めていると書きましたが、広告費をかけている以上、問い合わせがたくさん欲しいのは当たり前のことです。そこで問題となるのが「おとり広告」です。

「おとり広告」とは、実際にはない物件を掲載してお客様の関心を引き寄せ、問い合わせさせるというものです。しかし、問い合わせた場合にはその物件はありませんので、たとえば「つい先ほど申し込みが入ってしまった」とか「契約になってしまった」等々の言い訳でごまかし、違う物件を紹介することになります。さすがに、この世に存在もしない物件を掲載することまではなくても、少し前に決まってしまった物件で割安だったものをいつまでも掲載しているというケースが今でも存在しているのです。

一生に何度も買わないから、なかなか学べない

日本においてマイホームを購入するというイベントは、一生に1回というイメージがあり、実際に何度も買い替えるケースは少ないようです。たとえば米国のように、一生の間に5回前後の買い替えをすることが一般的な国と比較すると、不動産取引において経験を重ねていくことが難しいという問題があります。つまり、仮に失敗したり思いどおりに行かなかったことを活かして、次はもっといい不動産会社を見つけようというチャンスが少ないとも言えます。

さまざまな不動産業界が不信感を持たれる原因について書きましたが、実際には正しい営業活動をしている会社が大多数です。しかし、問題のある会社がゼロにはなっていません。その背景にあるものに「売りは信頼」「買いは情報」という言葉があります。自分の家などを売る場合には、大切な財産であるがゆえに信頼できる不動産会社という基準で選択するものの、買う場合には、よい物件が欲しいという思いが先行し、物件情報を基準に選択してしまう人が圧倒的に多いということです。その結果「よい不動産会社=よい物件を紹介してくれる会社」になってしまいます。

もちろん、情報は重要です。しかし、一生の買い物であることを忘れずに、誰から買うか? どこから買うか?という視点を大事にしていただきたいと思います。

高橋 正典 不動産コンサルタント

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たかはし まさのり / Masanori Takahashi

1970年、東京生まれ。価値住宅株式会社代表取締役。宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー。中古住宅の流通時において建物価値が築後経過年数に比例して一律減価する日本の建物評価に対して、個々の建物の価値の維持・向上を目指すべく、取引物件のすべてに「住宅履歴情報」の蓄積を行う、不動産取引から維持管理まで、顧客との永続的関係構築を行っている。
また、築年数によらず建物の一つひとつの価値を評価し、適切に売却及び流通させる不動産ネットワークである「売却の窓口」を運営、全国に加盟不動産会社が拡がっている。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事