【産業天気図・空運】景気低迷に新型インフル重なり今期後半不透明で雨、来期前半は燃料高一巡で黒字転換し曇りへ
09年10月~10年3月 | 10年4月~9月 |
航空業界は2009年度後半は「雨」、10年度前半は「曇り」模様になる見通しだ。金融危機を受けた昨年秋から急速に縮んだ需要に加え、4~6月期以降の新型インフルエンザ影響によるダブルパンチを受けて航空需要は失速していたが、年単位でみれば、少しずつ緩和されていく方向にある。ただ、今年後半にかけて新型インフル影響がどれだけ続くかどうかが読み切れず不透明感も残っている。
各社とも打撃が大きいのが国際線だ。金融危機を受けて前期比で2ケタ減が続いた旅客数は3、4月にやや戻したが、5月以降に新型インフル影響で一段と冷え込んだ。燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)が7~9月期にゼロになったが、夏場の旅行客も軟調で、各社が期待する下期の旅客回復も雲行きは怪しい。特に主力で高単価のビジネス旅客が戻っていないことが誤算だ。空席を低採算の団体旅客で埋めるために、料金を引き下げれば、さらに採算悪化がしかねない。
国内線も軟調が続きそうだ。今下期は日本航空<9205>も全日本空輸<9202>も不採算路線の撤退・縮小を過去最大規模で行う方針だが、それ以上に需要は低迷している。国際線ほど打撃は受けてないが、高単価のビジネス客が弱い中、搭乗率底上げを狙った団体客の奪い合いは激しく、値下げした全日空が日航から顧客を奪っているようだ。限られた需要の食い合いが加速すれば、ここ数年で実質値上げを繰り返してきた両社だが、一転して値下げ競争になる可能性も否めない。
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