世界の自動車メーカーは転換期に、各国の政府支援もかえってアダに《スタンダード&プアーズの業界展望》
しかしながら、景気低迷による消費者心理の冷え込みに加え、国内市場がすでに成熟していることを考慮すると、このような支援策が少なからず需要の先食いにつながり、その効果は一時的なものにとどまる可能性が高いとスタンダード&プアーズはみており、本格的な需要の回復については楽観視していない。
北米市場の先行きについても不透明感が強い。スタンダード&プアーズは、2009年の米自動車販売台数は1,010万台と2008年の水準を23%下回り、ここ数十年間で最低の水準になると予想している。
2010年には1,100万台に回復すると現時点ではみているが、それでも2008年の低い水準を依然として17%下回る水準となる。国内市場同様、新車買い替え補助制度の効果により、7月と8月の販売台数は大きく回復したものの、その効果は一時的なものにとどまる可能性が高い。
日本の自動車メーカーは、小型車のラインナップや高品質は引き続き強みであるものの、円高の影響もあり米国の自動車需要の減少の影響を免れていない。トヨタとホンダで、8月の販売台数が前年同月を上回りシェアも向上するなど、足元では新車買い替え補助制度の恩恵を受けたが、2009年1~8月累計では、トヨタのシェアは前年同期の16.9%から16.6%へ若干低下し、同社の販売台数は前年同期比29%減少、ホンダのシェアは前年同期の11.1%から11.4%へ若干上昇したものの、販売台数は同26%減少した。
一方、価格競争力のある韓国メーカーの追い上げが目立っているのは、日本メーカーにとって懸念材料だ。現代自動車グループ(起亜自動車を含む、いずれもBBB−/ネガティブ/--)は2009年1~8月の販売台数を前年同期並みの水準に維持し、シェアを前年同期の5.4%から7.5%へ大きく伸ばした。
余剰生産能力への本格的な対応はこれから
国内外での販売台数の急減を受け、日系メーカーは2008年10月以降、大幅な減産を行った。国内の自動車生産は、2009年1~3月期は特に低水準となったが、2月には底を打ったとみられる。