青息吐息の“出版旧体制”、デジタル時代の覇権は誰の手に?《アマゾンの正体》



 そこにキンドルショックという黒船がチラつく。電子ブックでは、当然のことながら「出版社」「取次」「書店」をつなぐ旧来のビジネスモデルとはかけ離れた流通形態となる。出版社は、この近未来を想定した取り組みを始めなければ、革命後の世界で生き残れないのである。

雑誌ではこの夏、注目の新事業が始まる。電通の雑誌局がアイフォーンをはじめとする携帯端末に雑誌コンテンツをダウンロード販売する「マガストア」だ。7月8日の発表時に、多くの有力出版社の賛同を集めることに成功した。

マガストアは、中吊りと目次を無料で見られるようにして、気に入った雑誌全体、あるいは一部の記事を有料でダウンロードできるようにするサービスだ。「中吊りを見て興味のある記事があっても、実際には電車を降りたときには忘れていて雑誌を買わなかったりする。マガストアでは興味を持ったらその場で買えるのがポイント。これまでの読者を食うわけではなく新しい読者を開拓するチャンスだ」(雑誌局ビジネス開発部・文分邦彦氏)。

雑誌出版社にとって、電通は広告を集めてくれる重要なパートナーだ。とはいえ、販売におけるパートナーは取次だったはず。古い流通秩序とは異なる枠組みでコンテンツの流通が始まるわけだ。

が、問題はマガストアの売り上げの配分方法。アイフォーンの場合、出版社の取り分は40%、他のスマートフォンでは50%だ。出版社にしてみれば、取次に代わる新しい中間業者を迎え入れるわけだ。(紙代、印刷代が不要とはいえ)取り分も大きくない。

「大手出版社であれば自分でアップルのアップストアに配信すればいいだけ。連合する必要はないのでは」と、新聞紙面のアイフォーン配信を行っている産経デジタルの近藤哲司社長は言う。

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