三島駅近くに見える新幹線「発射台」の真相 駅弁を食べながら車窓にビックリ!

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「発射台」は新幹線車両を下から見上げられる貴重なスポット。これは三島8時49分発「こだま810号」

三島車両所を出入りする車両は、必ずこの「発射台」を経由するが、その姿が見られるのは、東京~三島間の「こだま」が設定されている朝晩に限られる。朝はA席側の日差しが強いためブラインドを下ろしている人が多く、夜は暗くなってしまう。この発射台に列車が停まっているところを見られたら、かなりラッキーだ。

もうひとつ、E席側の車窓を紹介しよう。ただし、上り列車限定だ。新富士方面から三島駅に近づき、A席側に「発射台」が見えてくると、E席側の線路脇に小ぎれいな古墳が見える。

これは三島市の隣、長泉町にある原分古墳。7世紀頃に築かれた直径16mの大型円墳で、横穴式の石室を持つ。この地域には数多くの古墳があるが、その中でも規模の大きなもので、有力者の家族が葬られたと考えられている。

見た目は新しい1400年前の古墳

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上り列車から見る原分古墳。高架線に近すぎるため下り列車からは見えない。本来は着々と工事が進んでいる辺りに古墳があった

だが、新幹線から見える古墳は1400年前の遺跡にしてはずいぶんと小ぎれいだ。実は、この古墳は道路建設のため10年ほど前に発掘調査の名目で解体され、現在の位置に移築復元されたもの。本来は50mほど北側にあった。

この地域では、昨年2015年にも、関東地方で最古級(3世紀)の古墳である高尾山古墳が道路建設のために撤去されることが報じられ、現在古墳保護と道路建設を両立させる検討が行われている。

テーマパークのように人工的な姿となった原分古墳と、その北側で進む道路工事の様子を新幹線から眺めると、なんとも複雑な気持ちになる。原分古墳以外にも無数の古墳が、都市整備とともに消えていったことだろう。移転・復元してもらえただけ、原分古墳は幸せなのだろうか。

さて、新大阪に向かう下り列車は、「発射台」を過ぎるといよいよ東海道新幹線最大のハイライトに差しかかる。

栗原 景 ジャーナリスト

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くりはら・かげり / Kageri Kurihara

1971年東京生まれ。出版社勤務を経て2001年独立。旅と鉄道、韓国をテーマに取材・執筆。著書に『新幹線の車窓から~東海道新幹線編』(メディアファクトリー)、『国鉄時代の貨物列車を知ろう』(実業之日本社)等。

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