収入の格差はさらに厄介だ。格差はマレーシア、タイ、フィリピンでは横ばいないしは縮小しているが、アジア地域の大半で拡大しており、インドと中国で最も顕著だ。インフラに関しても、新興国や発展途上国の多くで広範な格差が存続しており、特に電力と交通の面で著しい。さらに、太平洋上の小さな島々では気候変動の影響による脆弱性が増している。
このため、以下の4つのような、大胆な行動が必要とされている。
必要な4つの行動とは?
・アジア地域の大半でインフレ率が低めにとどまったままなので、ダウンサイドリスクに備えて、成長を促す金融政策を続けるべきである
・リスク管理に当たっては、為替相場を柔軟に保ち、マクロ経済政策の対象も絞るなどの策を講じるべきである
・各国は金融システムを高度化させて、インフラ格差是正などに向けた開発資金の蓄積に努めるべきである
・財政政策により支持された構造改革は、洗剤的な成長力を強化して貧困を緩和させる一方で、経済の自由化と再調整にも寄与すべきである
アジアは幸いなことに、こうした目標を達成して、過去20年間のめざましい実績をさらに上積みすることができる。アジア地域には資源や人材、しなやかさと回復力があるだけでなく、貿易や金融を統合させる機会にも十分に恵まれている。
こうした課題を議論するため、インド政府と国際通貨基金(IMF)は3月11〜13日、ニューデリーで「前進するアジア」をテーマとする会議を開く。アジア地域の政策立案者や重要な知識人が出席予定だ。世界最速で成長しているインドは、新興市場にとってはこの困難な時代における希望の光であり、会議を開催するには幸先の良い場所だ。
会議を開く目的は、アジアと世界経済にとって、明白かつ重大なものだ。アジア諸国の成長が確実に、安定的で、持続可能で、包括的であり続けるようにすることだ。そうすればアジア地域が、国際的な成長の強力な原動力のままでいられるのだ。
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