トヨタも日産も工場を相次ぎ新増設するが…九州「自動車」アイランド 熱狂の陰に潜む”死角”

中国輸出の一大拠点 震災リスク回避も

第1に地の利。福岡を起点に円を描くと、ソウルも上海も半径1000キロメートル圏、航空機でたった1時間半という近さだ。国の特定重要港湾に指定された博多港はじめ、インフラは十分整備されている。そこへ中国など新興国の市場爆発が重なり、輸出基地としてあらためて急浮上した。トヨタグループでは中国向けの4割をトヨタ自動車九州が受け持つ。

第2に人材確保のしやすさ。トヨタの本拠地・愛知県は、09年1月の有効求人倍率が1.86倍と全国一で最も人手が足りないエリア。対する九州は、福岡県でもせいぜい0.69倍。全国平均の0.98倍をかなり下回っている。周辺には九州大学など国公立大の理工系学部の層が厚い。「かつて鉄鋼で発展したように、ものづくりの下地はあった」(今村修二・福岡県自動車産業振興室長)。

そして第3が、大型地震などへの地政学リスクの分散である。実際、新潟県中越沖地震では部品メーカーの一工場が被災しただけで、日本中の自動車工場がストップする事態に陥った。特に、愛知県に工場が集中するトヨタグループは、東海地震の危険性をつねに抱えており、九州は代替拠点の最右翼となっている。

この好機をとらえるべく、自治体も優遇措置で対処。福岡県は「企業立地促進交付金」として、工場を新設する場合、設備投資200億円以上・新規雇用200人以上なら、最高20億円まで交付する。これは自動車関連だけに設けた特例だ。誘致に成功すれば、税金は落ちるし、雇用も生まれる。ダイハツ九州が進出した大分県中津市では、周辺を含めて5000人もの雇用が生まれた。「やっぱり自動車はロットが違う」と県の関係者は言う。

麻生渡・福岡県知事を旗振り役に03年設立した「北部九州自動車100万台生産拠点推進会議」は、06年に前倒しで「100万台」が実現したため、「150万台」に改称。今年中にその150万台達成を目指す。07年末には九州初のモーターショーを開催し存在をアピールした。

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