トヨタも日産も工場を相次ぎ新増設するが…九州「自動車」アイランド 熱狂の陰に潜む”死角”

レクサス生産で実力証明 トヨタが開発拠点新設へ

「『九州発』のクルマをつくりたい。顧客の声をきめ細かく拾い、即座につくり込む。たとえば、部品点数が少なく組み立てやすいクルマだ」

そう息巻くのは、トヨタ自動車九州の渡辺顯好社長。トヨタ本体とトヨタ九州の両社は昨秋、10年代半ばに開発機能をトヨタ九州に移管することで合意した。車両開発の一部を移すことで、開発から生産までの一貫体制を構築するのが狙いだ。

主力の宮田工場(福岡県宮若市)では現在、高級車「レクサス」などを生産しており、国内でレクサスを生産するのは、こことトヨタ本体の田原工場(愛知県)だけ。生産能力は年43万台だがほぼフル操業で、今年中に46万台まで引き上げる。基幹部品のエンジンをつくる苅田工場(同苅田町)は44万基に能力を倍増したばかりで、小倉工場(同町・北九州市)では今夏からハイブリッド車用の部品も手掛けるという。

レクサスは検査項目が1400に上るほど、精密さが要求されるクルマ。生産技術に秀でたトヨタ九州の実力が親会社の目に留まり、開発拠点の併設が決まった経緯がある。実際、トヨタ九州は、トヨタ本体がカナダ第2工場を立ち上げる際もマザー工場の立場で支援しており、トヨタの海外子会社から視察が後を絶たない。福岡県などは自動車産業参入アドバイザーとして幹部の派遣を受けており、「部品メーカーに生産ラインを一から徹底指導してもらっている」(山口真佐実・九州経済産業局産学官連携推進室長)と言う。

そのトヨタ九州も、90年代半ばのバブル崩壊後は、愛知県内のトヨタグループに余剰人員を引き受けてもらっていた時代があった。その後、SUVやレクサスの生産を任されてから業績は復活。今08年3月期の売上高はついに1兆円の大台を突破、経常利益も200億円台を確保する見込みだ。トヨタグループの車両メーカーとしては、売上高でトヨタ車体には届かないものの、関東自動車工業よりは大きい。生産実績の44万台も、トヨタ本体の高岡工場(愛知県)などとほぼ肩を並べる。

「われわれだけでは開発がもたない。グループで分担していかなければ」とトヨタ本体の岡本一雄副社長。それだけトヨタのグループ戦略において、トヨタ九州の位置づけが重みを増しているのである。 

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自動車「コロナ不況」が促す<br>部品業界サバイバルの行方

コロナ危機の自動車部品メーカーへの影響は、過剰な設備と人員を抱えていた日産系でとくに深刻。比較的堅調だったトヨタ、ホンダ系も無傷ではありません。世界レベルでの技術開発競争は激化の一途で、生き残りへの再編と淘汰が始まろうとしています。