価格比較サイトの風雲児「コネコネット」のオタク力

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専門性にこだわるのは、5年後10年後、そして15年後には、商品購入の際に価格比較サイトを利用するのが当たり前になる、という柴田社長の確信による。ネットで調べてから購入するのが当たり前になれば、ユーザーが求める情報は価格にとどまらず多様化するはず。夏休みの旅行計画であれば、国内外の詳細な地域情報、ツアー商品や航空券について情報量が多い旅行専門サイトが入り口になるに違いない--。実は、同社のトラベル・ジェーピーは、旅行分野売上高でカカクコムを上回っている。「専門性の追求が強みにつながる」と柴田社長は自信を深める。

特定の分野に精通していることで、一般向けの人気商品からオタクをうならせるマニアックなものまで、品ぞろえに幅が出せる。たとえば、コネコネットのオーディオ分野は、かつてオーディオメーカー社員だった担当者がデータを作成。人気のiPodはもちろん、真空管アンプやレコードプレーヤーなどオーディオマニア向けの展開も強化中だ。

専門性の高さを志向 人材確保が最大のカギ

各分野に精通する人材を採用して担当者に据えるメリットはほかにもある。広告主であるサイト掲載事業者への営業活動においても、担当者の専門知識の有無がモノを言うという。出稿の営業をかける際、なまじ専門知識の浅い人間だと相手にもされないケースがままある。趣味性の強い分野であればなおさらだ。

トラベル・ジェーピーの広告主の一つである阪急交通社では、自社サイトを開設した直後から、集客ツールとしてトラベル・ジェーピーを利用している。同社の尾方幸弘ウェブ販売促進課長は「旅行業界に精通している営業担当者とは、仕事が効率的に進む」と評価する。8月に露出を増やしたい旅行企画は何か、集客したいターゲットはどの層か、10月はどんな提案が期待されているかなど、顧客の胸中を熟知したうえでの提案ができる。また、A社はパッケージツアーに強い、B社は航空券に強い、C社は韓国は弱いが中国に強いなど、旅行会社ごとの特徴を生かし小回りの利く提案も可能になる。

だが、現状は厳しい。09年12月期中間期は国内外の旅行需要や広告出稿の減少により営業益は73%減。通期でも売上高はかろうじて横ばいの14億7500万円を見込むが、営業利益は3800万円と78%減に沈む見通しだ。10年3月期売上高は23%増の120億円、営業利益は25%増の49億円を予想するカカクコムとは雲泥の差である。

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