孫泰蔵氏「場外ホームランか三振の投資を」 新たなベンチャー投資を始める狙いとは?

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――どのような領域への投資を考えていますか。

場外ホームランになるか、それとも三振か。どちらかになるようなものだけをやることにしています。二塁打では面白くない。大振りして、大コケするかドカンと行くか(笑)。

目先の伸びそうな分野ではなくて、世界をガラっと変える可能性があるもの、賛否両論なものに投資をします。今だとフィンテックが半歩先にある分野で、1歩先が人工知能になる。一般的には、投資は1歩先のものに行うのがよいと言われます。しかし、それよりもっと先の領域にあるものをやりたいと思っています。

――具体的には、どのようなサービスですか?

最初から世界目線で、グローバルに通用するものしかやりたくない。英語でサービスを作ってもらい、これからの時代の大きな問題を解決するスタートアップを共同創業したいなと。

たとえば、食糧問題に関して、水不足などで作物が育ちにくい地域でも、作物を生産できる技術を開発する会社などを応援したい。また、われわれは前向きに高齢化社会の問題を解決したい。

60歳でも40歳ぐらいの感覚でバリバリと働けて、80歳でそろそろ引退しようか、となるようなテクノロジーやサービスができれば、社会がハッピーになりますよね。そうした課題解決に向けてイノベーションを生み出す会社を一緒に作り、投資することをミスルトウの使命にしようと考えています。

なぜ海外でうまくいかないのか?

――それ以外の注目分野は?

人や物を運ぶ物流系の分野もそうです。自動運転もそうかも知れません。その分野でイノベーションを起こすと、最適な時に人や物を上手く配置し、届けられるようになるので、全体の効率や生産性が向上する。教育もすごく大事ですね。出資は年間5~10件くらい行けばいいと思っています。投資規模は1件あたり、累計で数億円になっていくでしょう。

――世界に通用するサービスにこだわるのには、どのような背景があるのでしょうか。

日本のスタートアップの場合、規模が小さくても、グローバルに使われるサービスを最初から提供しようと思っている人はほとんどいません。強いて言えば、LINEは海外で多くのユーザーを獲得できています。メルカリも英語圏で積極的に展開していますが、全体ではあまりないですよね。

なぜこうなるかと言うと、アプリやウェブサービスの場合は、文化的な側面が関係してくるので、日本に最適化すると海外でうまくいかない。日本は世界のマイノリティというか、進みすぎているので。

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