ハーバード生が日本旅で発見した「美徳」 インド出身学生が熱烈支持!

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ケジリワル:基本的な原則はひととおり学びましたよ。トヨタの生産方式の核となっている「自働化」と「ジャスト・イン・タイム」。異常が発生したら、即時に関係者が知ることができるようにアンドンという電光表示盤があることも学びました。

従業員の行動や考え方の原則となっている「カイゼン」、「5つのなぜ(Five Whys)」なども授業で習いました。トヨタのオペレーションは素晴らしいので、その本質から学ぶことは非常に重要だと思いました。

卒業後はどうする?

佐藤智恵氏

佐藤:ケジリワルさんの考え方をどのように変えたのでしょうか。

ケジリワル:トヨタの工場を見学して、その生産方式を学んで、それを自分が働いている会社にただ導入しても、トヨタにはなれないことが分かりました。トヨタの生産方式やシステムは、従業員の考え方からトヨタ式になっていなければ、実現できないものなのです。

なぜカイゼンをしなくてはならないのか、なぜ失敗を先に報告するのか、という理由に従業員が納得していなければ、システムそのものが成り立たない。それをトヨタから学べたのは大きかったですね。

佐藤:ケジリワルさんは元々ゴールドマン・サックスのバンカーですが、ハーバードに入学後はニューヨークのベンチャーキャピタルで働いたり、インドでフードデリバリーの会社を起業したり、本当に様々なことに挑戦されていますよね。卒業後はどのような仕事をする予定ですか。

ケジリワル:正直申し上げて、まだ決めていないのです。決めなきゃいけないんでしょうけれど……。なんとなくですが、アメリカで3、4年働いてから、アジアに戻ろうかな、と考えています。

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佐藤:選択肢がありすぎて、という感じでしょうか。まずは金融業界に戻る予定ですか?

ケジリワル:多分、それはないですね(笑)。ハーバードに入学する前に金融機関の仕事はたっぷり経験しましたから、卒業後は他のことに挑戦してみたいです。

佐藤:日本企業についての授業や日本ツアーで学んだことは、ケジリワルさんの人生にどのように役に立ちそうでしょうか。

ケジリワル :トヨタの事例からは、どのような業種にも適用できるトヨタの考え方の本質を学びました。日本ツアーからは、「シンプルに生きることの素晴らしさ」を学びました。

日本の方々の親切さや礼儀正しさに感激したのはもちろんですが、私は日本の方々が、清潔で、モノが散らかっていなくて、整然とした空間の中で日々、暮らしていることにとても感銘を受けたのです。 日本文化はミニマリズムや、シンプルであることを大切にしますよね。このコンセプトは、私の今後の人生に非常に大きな影響を与えていくと思います。私も日本の方々のように、シンプルに生きたい、と思いました。

佐藤:最後に日本の読者の方々にメッセージをいただけますか。

ケジリワル:日本も素晴らしい国ですが、私の祖国インドも素晴らしい国です。ぜひインドに来てください。それから、繰り返しになりますが、これだけは言わせてください。日本人はただただ素晴らしい国民です。そのよさを絶対に失わないでください!

佐藤 智恵 作家・コンサルタント 

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さとう ちえ / Chie Sato

1970年兵庫県生まれ。1992年東京大学教養学部卒業後、NHK入局。ディレクターとして報道番組、音楽番組を制作。 2001年米コロンビア大学経営大学院修了(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、外資系テレビ局などを経て、2012年、作家/コンサルタントとして独立。主な著書に『ハーバードでいちばん人気の国・日本』(PHP新書)、『スタンフォードでいちばん人気の授業』(幻冬舎)、『ハーバード日本史教室』(中公新書ラクレ)、『ハーバードはなぜ日本の「基本」を大事にするのか』(日経プレミアシリーズ)、最新刊は『コロナ後―ハーバード知日派10人が語る未来―』(新潮新書)。公式ウェブサイト

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