商人道ノスヽメ 松尾匡著

商人道ノスヽメ 松尾匡著

武士道ほどに商人道は知られていない。しかし、むしろ現代日本人にとって、適した倫理原理、道徳観であると著者はいう。詳述されるのが、石田梅岩と近江商人の商人道。「江戸商人道」を貫く「開かれた個人主義」にスポットライトが当てられる。

たとえば、近江商人道の象徴的スローガンは「三方よし」、つまり「売り手よし、買い手よし、世間よし」だが、もともと「自利利他円満」の菩薩道の教義の実践という。ただ、利潤の正当化は梅岩の商取引観を借用し、武士が俸禄を受けると同様なことであり、商人の売買は世の中の助けになると不善批判をかわす。

さらに商人道に共通するのは、正直さ公正さの重視であり、勤勉と忍耐、しまつ、社会貢献、他国者意識、血縁びいきからの脱却、また才覚と創意工夫が尊ばれ、新事業への金融支援も当たり前に行われたという。

確かに「身内集団原理」の武士道より、商人道優位の時代を迎えたようだ。

藤原書店 2520円

Amazonで見る
楽天で見る

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • コロナショックの大波紋
  • 仲人はミタ-婚活現場からのリアルボイス-
  • ルポ「ホームレス」
  • インフレが日本を救う
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「賃料補助」は焼け石に水<br>飲食店を追い込む“遅い政治”

多くの飲食店経営者が自粛要請に応じています。政治に求められるのは救済プランの素早い策定ですが、与野党案が固まったのは5月8日。せめて第1次補正予算に盛り込まれていれば――。永田町の主導権争いが、立場の弱い人たちを苦しめています。