新線ラッシュの関西鉄道、運用状況は明暗くっきり《鉄道進化論》

新線ラッシュの関西鉄道、運用状況は明暗くっきり《鉄道進化論》

不況の暗い影を落とす関西だが、それと相反するかのように鉄道の新線開通が相次いでいる。

昨年3月に西日本旅客鉄道(JR西日本)の「おおさか東線」が、続く10月には、オフィス街の中之島地区を東西に横切る京阪電気鉄道の「中之島線」が開通した。さらに今年3月には、神戸と奈良を直通する「阪神なんば線」(写真)が登場。それぞれの開業前後には、連日のようにテレビや雑誌などで関連特集が報道された。「新しいもの好き」と言われる関西人だけに、新線に対する注目の高さがうかがえる。

新線には、鉄道会社の思惑が乗せられている。少子高齢化による沿線人口減少の影響で、関西の鉄道輸送客数は下降線を描く。特に、定期客が1991年度をピークに漸減傾向。そのため、鉄道会社は新線をテコにして、観光客を呼び込む狙いである。

その狙いが的中しているのが、阪神電気鉄道の運営する阪神なんば線だ。「総じて順調に推移していますね」と、阪神・都市交通事業本部の久保田晃司部長は破顔一笑する。

これまでの利用客数は1日平均5万4000人と、当初想定の6万7000人に届いていない。だが、新線の運輸収入は見込みよりも12%上回った(3月と4月の前年同月比)。これは長距離を利用する顧客、つまり観光客が想定よりも多かったことを意味する。

阪神なんば線は、既存の尼崎-西九条駅ルートを大阪難波駅(近鉄難波から改称)まで延伸したもの。同時に近畿日本鉄道との相互直通運転を開始したことで、三宮(神戸)-近鉄奈良駅が直接つながることになった。

神戸と奈良はこれまで、同じ関西圏にありながら「心理的に距離がある」とされてきた。両地域ともに観光資源を有しながら、直通する鉄道がなかったために相互の行き来が不便極まりなかった。阪神なんば線はそれを補った形となり、実際に開通後は三宮と奈良を往来する顧客が増えているようだ。

新線が順調である背景には、人気施設の“呼び水”効果もある。阪神は「甲子園球場」の大規模なリニューアル工事をほぼ終えており、その近隣にある職業体験型テーマパーク「キッザニア甲子園」も3月にオープンした。これらの施設を目当てに、広域の顧客が新線を利用している。

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