小さな組織を救うのは「眠れる」マルチ人材だ 主婦再雇用推進で明らかになった2つの課題

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「戦略的総務人材」に求められるスキルとは具体的に、給与計算や労務、各種業者との折衝、請求書処理など。直接売り上げを左右するわけではないものの、企業として事業を継続するうえでなくてはならない「ノンコア業務」です。こうした業務は創業当初は経営陣や基幹社員が兼務しながらこなしていますが、会社の成長に従って本来業務に忙殺されるようになり、手が回らなくなるものです。

「戦略的」という言葉の裏には、「機転が利く」「計画的・能率的」「責任感」いう3つのキーワードがあります。言われたことをただこなすだけではなく、会社にとって適切な提案と行動を先回りしてできるようなイメージです。実はこうした特徴こそ、子育てを経験した主婦の強みでもあるのです。

再就職を希望する女性たちの高い意欲

次に私たちは、福岡市内で再就職を希望する女性を対象とした約1カ月間にわたるトレーニングを実施しました。定員10人というわずかな枠に応募が殺到。今回のプロジェクトの事務局を務めたママワーク研究所の田中彩さんによれば、福岡市内の専業主婦の約8割は「再就職したい」と考えているとのこと。働く場を求める女性たちの熱意を目の当たりにしました。

「春からいちばん下の子どもが幼稚園に入園するのをきっかけに再就職を考えています」というAさん(43)は、広告代理店に15年間勤め、事業部長まで務めたこともある優秀な女性でした。営業畑でキャリアを積んだものの出産を機に仕事から離れて10年ほど。再就職となると営業経験をそのまま活かす仕事は難しいと考え、基本的なパソコンスキルを磨いて管理事務系の仕事に対応できるようになりたいというのが、応募の動機です。

「上の子どもが中学生になる時機にふと、もう一度自分も成長してみたいと思ったんです。でも、いったい何から始めればいいのか見当もつきませんでした」というYさん(38)も10年以上もの間、専業主婦でした。「新しいことを始めるベンチャー企業のお手伝いがしたい」と熱い意欲を語ってくれました。

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