ダイバーシティ経営・パネルディスカッション--多様な価値観の尊重・活用で、仕事と企業を変える

司会 それでは次に帝人の黒瀬さん、よろしくお願いいたします。

黒瀬 帝人の黒瀬です。よろしくお願いいたします。

今日はダイバーシティ経営大賞の女性管理職登用部門の賞をいただきましたので、特に女性登用に関してお話をさせていただきたいと思います。

 帝人グループ全体で社員が2万人ほどおりまして、海外1万人、国内に1万人の社員が働いています。いま帝人株式会社は持ち株会社になって社員が300人ぐらいで、海外と国内各84社ずつ、全グループで164社に分かれて仕事をしております。その意味でも、グループ全体のダイバーシティ推進というのが私の部署のミッションですが、非常にやりにくい。社長が164人もおりまして、たいへん困った状況です。海外と国内の社員構成であるとか、いろいろな統計を毎年取り、制度に関しては国内だけ調べて状況を把握しつつ、みんなで足並みそろえてやっていこうよということで進めています。

女性管理職登用ということでは、化学業界は後れている。私どもの製品は素材が中心で、消費者の皆様のお手元に直接届くようなものはほとんどありません。私どものお客さまは製造業の工場の購買部門の皆様ですので、権限を持った課長さんレベルの方々はやはり男性です。ですから、帝人の社内で「この仕事は女の人のほうがうまくできるだろう」というような仕事がほとんどないというのが実情です。国内1万人のうち、女性社員は18%から19%といった程度でして、先ほどの資生堂さんとは正反対です。今回、「女性管理職登用」で表彰いただいていますが、女性管理職比率は2.88%。これは課長以上の数字で、管理職を100人集めると、女性は2人か3人しかいない、そういう状況です。少ないじゃないかとお思いでしょうが、これは精いっぱいの努力の結果としての数字です。

それでも、一生懸命やってきたのです。2代前の社長の安居さんが「ダイバーシティということを頭の中に置きながら、今後は女性が活躍できる会社にならないと、グローバルビジネスの世界では生き残っていけないだろう」という考えのもとに、1999年の終わりに「女性活躍推進活動」というのを始めました。2002年度末からは3年間で女性管理職3倍増計画というのを立てて、一生懸命頑張りました。また、これに先立って、女性の総合職の母数を増やそうということで、01年4月入社から、総合職採用の女性比率を30%と決め、ずっと30%の採用を続けています。採用のほうは問題なくできますので、総合職の母数という意味では着実に伸びてきて、総合職の女性比率がいま15%ぐらいのところまで来ているのですが、管理職となるとそう簡単には登用できない。やはり力をきっちりつけてから登用しましょう、そういうルールは守ろうということでやっていますので、なかなか苦労はしております。

3倍増計画を言い出したのは実は当時の役員層でして、とにかく3という数字がきれいなので、「3年で3倍だ」と(笑)。役員層からほとんど命令のような形で下りてきた時に、担当している実務レベルのわれわれが「それは無理だろう。3倍増は無理ですよ」と役員層に言ったのですが、無理なら外から採用してでもやれということで、採用と社内の育成との2本柱で進めてきました。

採用のほうは女性管理職候補の中途採用を2003年から04年にかけて集中的に実施しましたが、やはり非常に難しい。われわれのような古い業界にわざわざ女性管理職として苦労しに来るわけですから、候補者探しも難航し、成功したとは言えない状況です。合計で15ほどのポジションを特定して採用活動をしましたが、埋まったのは5~6という結果です。

もう一方の社内での登用プログラムは「女性幹部育成候補プログラム WIND」というのを2003年~05年まで3年間実行しました。これは女性幹部候補を毎年14名程度選抜して、3年間で43名が受講しました。このプログラムの重点は、とにかく意識づけをしっかりやること。女の人たちは、私も含めてですが、管理職になりたいと素直に言える人はとても少ないんですね。ですから、「あなたは会社から選ばれたから、頑張って幹部になろうよ」という意識づけをすることを集中的にやりました。いわゆる座学、管理職になるためのお勉強ということはせずに、あなたは選ばれたから頑張ろうということと、いろいろな経験が積めるようなキャリアプランをつくって実行していきましょうということ、それから、いい意味での公私混同をしようということに徹しました。

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