就活生は、「みん就」の正しい読み方を学ぼう 先輩・仲間の「善意」を受け取り、しっかり返せ

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就活解禁日の3月1日は一気にアクセスが増えることが予想される

今里:いろんな人がいろんな立場や思いで書くのだから、そもそもそういうものだと思って受け止めて、実際にそれが本当かどうかは、たとえば自分の周りの友達に確認するしかありません。新聞もテレビの情報もそうだと思いますが、いまネットで流通している情報ってそういう受け止め方をされていると思うんですよ。特にソーシャルを普段使いしている若い人ほどそんな状態じゃないのかなぁ?

口コミで非公式な情報もキャッチできる

今里:解禁日を意識していながら実際にはそうじゃないって事を、意識の高い学生はとっくに知っているわけで。リクナビやマイナビの提唱している就活ルールに則っていながら、口コミの非公式な柔らかい情報もキャッチして、実際には仲間と確認し合ったり自分で見に行ったりする。そういう自律的な就活生が、うれしいことに一定数いてくれるってことですね。

常見:うんうん。学生もバカではないですからね。

今里:「みん就」には、ある企業を受けている人が他に見ている企業も参考してもらえるようにリコメンド表示されたり、そこで関連するような他の企業を見つけたり、他の業界を探しに行ったりできるんです。たとえばJR東海の掲示板を見ていると、そこでは東京メトロをチェックされたりしていたりするので、併せて情報を確認したりするんですね。

常見:そこで他社に関心を持ったり、他社を受けている人から刺激を受けたり。先輩や仲間から就活のヒントをもらえる、と。

今里:企業からのオフィシャルな情報ではないけれど、今まさに就活している、あなたの就活同期生が書いている情報なんだってお互いに認め合って、善意での情報交換が自然発生している状態が「みん就」らしいかな。

常見:いかに善意のスパイラルが起こるかどうかですね。「鉄道会社は鉄道研究会を採らない」とか「玩具メーカーはオタクを採らない」とかそういう都市伝説の真偽について「プチ・エビデンス」と言えるようなものも情報交換されているという。

今里:情報交換というか、機会の交換というか、それがサイトの掲示板や、みん就の就活イベントの現場で誘発されるかどうかですよね。それは自然に発生するに任せた方が絶対にいいはずで、そこにあまり意図的な管理は入り込まない方がい好いのかなぁと、個人的には思っています。

常見:ところで、「みん就」が始まった1996年って、ちょうど私が就活していた頃です。日本のネットの黎明期ですね。かなり早くから始まっているサービスですね。20年も自走しているという。

今里:そうですね。ネットのサービスでモデルを大きく変えずに生き残っているものって意外と少ないんですよ。2ちゃんねるとYahoo!のディレクトリくらいですかね。

常見:ディレクトリという言葉自体懐かしいですね。

今里:常見さん、試しにGoogleで「企業名」+「就活」で検索してみてくださいよ。

常見:(検索する)あぁ!

今里:過去20年にわたって書込みされた「みん就」の膨大な量の口コミの情報が、Googleの検索エンジンでは高く価されて、検索結果の常に上位に表示されるんです。これはわれわれにとってありがたい財産ですね。

常見:おもしろいですねー!

今里:だから、「みん就」への流入のほとんどがオーガニック(自然流入)なんです。「みん就」のことを意識していなくても(知らないとしても)「そろそろ就活だけど、あの会社の採用ってどうなの?」という就活生の自然な「気分」から検索すると、その企業の採用ページよりも上位に「みん就」が表示されて、結果的に就活生の多くが「みん就」知っていくんです。「みん就」がどんな言葉の略称なのか知らないユーザーもいるんですよ。それでも多くの就活性が何となく使ってくれている。

常見:「みんしゅう」という響きで覚えているわけですな。

学生はいつの間にか、楽天会員になっている

今里:そうですね。就活の時期には「みんしゅう」を使う、という先輩から後輩に口頭伝承されるみたいな。「みんなの就職活動日記」の略だとか、楽天のサービスだとか、案外知らないのですよね。

常見:学生はいつの間にか、楽天の会員になっている、と。まさに私が人事担当者だった頃、楽天が「みん就」を買収したわけですが、「これ、絶対、若い楽天会員を増やすためだろうなあ」って思っていましたよ。

今里:(苦笑)。

常見:でも、これだけ長く続いていて、すごいなって思います。それこそ、mixiとかTwitterとかFacebookなどが出てきて、一時は「ソー活」なんて言葉が出てきて、「みん就」どうなるんだろうと思っていた時期もありましたが、残っていますよねえ。なぜ、こんなに「みん就」は続くのでしょう?

今里:就活生って、苦労して頑張って、先輩や就活仲間の口コミを参考にしたり、励まし合ったりして社会に出て行くわけです。自分が内定をもらったら、今度は仲間や後輩に恩返ししようって、そんな善意の連鎖が「みん就」を存続させているんだと思います。不安で苦しんで就活を乗り越えて大変だった分、次はほかの人に役立ちたい、みんなで助け合いたいという気持ちですかね。

学生諸君、そしてみん就にお世話になった社会人諸君、いかがだっただろうか。
思うに就活というものは大人社会を垣間見るものだと思う。偽善や欺瞞が渦巻く世界を覗く行為でもある、後ろ向きに言うならば。そんな中で、みん就のような口コミサービスというか、相互扶助の世界は貴重だと思った次第だ。後編もお楽しみに!

 

常見 陽平 千葉商科大学 准教授、働き方評論家

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つねみ ようへい / Yohei Tsunemi

1974年生まれ。北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。同大学院社会学研究科修士課程修了(社会学修士)。リクルート入社。バンダイ、人材コンサルティング会社を経てフリーランス活動をした後、2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師に就任。2020年4月より現職。専攻は労働社会学。大学生の就職活動、労使関係、労働問題を中心に、執筆・講演など幅広く活動中。『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など著書多数。

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