10兆円の円売り介入でも円高は止まらない なぜこれからも円高が進むと言い切れるのか
2月26~27日、上海でG20(主要20か国・地域)財務相・中央銀行総裁会議が行われた。議長国である中国は、追加金融緩和策や財政出動の可能性に言及。共同声明では、各国が「あらゆる政策手段を総動員」する方針を打ち出した。だが結局、高まる世界景気後退リスクに対しての「有効な具体策」が打ち出されたとはいいがたい。
なぜドル安円高のトレンドが今後も続くのか
2月に入り、ドル円相場は一時、1ドル110円台まで円高が進んだ。26日には米国の実質GDP(2015年10~12月期)が年率換算で1%増となったことなどを背景に大きく円安にふれたものの、120円まで戻るのは簡単ではなさそうだ。
なぜ、ドルの戻りは鈍いのか。
「米国の景気がスローダウンしている」
「中国経済が危ない」
「原油価格の下落で、地政学リスクが一挙に高まっている」
結局、これらの源流をたどると、マーケットが混乱をきたしている原因は、中国経済のスローダウンに集約されそうだ。外資系投資銀行やヘッジファンドで為替のディーリングに従事し、現在はメルマガなどを通じて為替の情報発信を行っている志摩力男氏は、今回の混乱の原因について、次のように言う。
「マーケットの混乱は、結局、中国経済のリセッション(景気後退)に対する懸念が一段と高まっているからだ。今はまだ、本格的な景気後退局面に入っておらず、具体的にいつから景気後退が本格化するのか分からない。だが、すでに兆候は見え始めている。それが市場心理を冷え込ませている」。
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