10兆円の円売り介入でも円高は止まらない なぜこれからも円高が進むと言い切れるのか

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経済成長率だけをとれば、中国経済は減速しつつあるものの、なお成長しているように見える。25年ぶりの低い止水準とはいえ、数字だけを見ると2015年のGDP成長率は前年比6.9%増。だが資源価格の下落はごまかせない。原油価格は若干反発したものの、1バレル=30ドル台で低迷している。

また中国と経済的なつながりが深い欧州では、ドイツ銀行をはじめとして、金融機関のCDSスプレッド(金融商品の価値を保持するために、投資家が支払うレジットデフォルトスワップの保証料)が、2月に入って急上昇した。

「原油価格の急落、欧州の金融不安など、2月以降、突発的に不安定要素が浮上してきたように見える。だが、元をたどれば中国経済のスローダウンが最大の震源地。だ。これによって、世界経済が長期的にデフレ局面へと移るのではないか、今はその入口にあるのではないか、という見方が広まり、マーケットではリスクオフの動きが強まった。それが円買いの要因だ」。

すでに日本は「100兆円の外国買い」をした

これまで長期にわたって高成長を続けてきた中国経済が減速すれば、混迷は長期化する恐れがある。気になるのは、どこまで円高が進むかだ。

「あと半年先くらいまでのビューで言えば、ドル円のレンジは105円から115円だろう。一部のエコノミストたちの間では、今もって1ドル120円という見通しが出されているが、円安がもう一度進むという根拠は、すでに失われている」。「『今の為替水準は一時的なもの』と思っているマーケット関係者が意外と多い」ということのようだが、では「円安にはならない」と断言する志摩氏の根拠はどこにあるのか。

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