■エチオピアの男性と「ユニかぶり」
ユニクロのビジネスにおけるインパクトは、他社の「下取りセール」における意義と同じく、顧客にタンスの肥やしを整理させ、新しいものを購入させる効果だ。特にユニクロにおいては、とりわけこの要素は重要だ。なぜなら、昨今のユニクロは品質向上が著しく、めったに衣類が伸びたり縮んだり、色落ちしない。つまり、ずっと着られちゃう。そのあたりは基本的にワンシーズン使い捨てのファストファッションと一線を画している。
新しいのが欲しい。でも前のが着られちゃう。だから買えない。すっごいジレンマ。顧客にとってはジレンマからの開放。ユニクロにとってはセールスの道が開けるという、素晴らしいソリューション。ユニクロは数を売ってなんぼのビジネスモデルなのだから。
「でも、結局まだ着られるのに、リサイクルに出すって、家電やクルマに対する抵抗感と変わらないんじゃないのか?」という点も大丈夫なのだ。
リサイクルに出された衣料は、発電用燃料としてリサイクルされたり、断熱材や工業繊維としてリサイクルされたりもするが、90パーセントはタンザニア、ウガンダ、エチオピアなどの難民キャンプに寄贈しているという。つまり、9割は「リサイクル」ではなく、「リユース」である。環境負荷の元凶にはなっておらず、人助けができているのだ。
「あなたにとって不要な1枚が、誰かにとって必要な1枚となる」
「全商品リサイクル活動」のコピーである。考えてみれば、これってスゴイことではないだろうか。「誰か」って、地球の裏側にある難民キャンプで暮らしている人々なのだ。貧しく厳しい暮らしをしている人々に、自分たちができることは少ない。せいぜいポケットの中の小銭を募金するぐらいだろうか。それが、自分のお古の衣類を提供するという直接的な貢献ができるのだ。
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