(第7回)ストレスに負けない心の持ちよう

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●愚痴の勧め

 ストレス対処には日本的美学と反対のことをするとよい。まず愚痴や文句を言おう! もちろん上司にいちいち反抗するわけにはいかない。配偶者、家族、友人、恋人、だれでもよいが、愚痴や文句を安心して言える相手がいることが大切だ。仕事上の機密は話せないものだが、どんな風にストレスを感じたかを話すだけでよい。ネガティブな感情が多少なりとも治まるはずだ。
気持ちが治まったら、次に冷静にストレッサーと自分の感情を分析してみるとよい。そしてストレッサーに対してできる対処を挙げて、即、行動に移そう。

例えば、日頃与えられる仕事量が多いことを不満に感じていたとしよう。上司が嫌いだという感情になっているかもしれない。そんな時、週末にゆっくりしようと思っていたら、その上司に週明けまでに別の仕事を仕上げるように命じられた。その仕事がストレッサーになって、怒りの感情、ストレスを感じるものだ。そんな時、“配慮のない上司でね……”と愚痴を誰かに聞いてもらうと、怒りはだんだん静まる。
次に落ち着いたら新たな仕事の量と持ち時間を分析し、仕事の段取りに集中する。ヒトは一度にひとつのことしか考えられないから、段取りに集中している間はストレスを遠ざけることができる。新たな仕事に時間を割くスケジュールと、週末に休む時間や気晴らしの計画も具体的に作るのだ。両立できそうだと感じられればストレスは感じなくなるものだ。冷静に仕上げた仕事を週明けに上司に提出するころには怒りの感情は薄れているだろう。

●現実を直視する

 デジタル社会といわれるこの世の中でも、一つひとつの出来事はデジタルではない。白黒もつかないし、竹を割ったように振る舞うのも難しい。だから、白黒の間のグレーなところがあるはずだと思いながら仕事に向かえば楽になる。上司が何かを言っても「また、変わるかもしれないな」と思って聞けばよい。
「~すべきだ」とか「~するべきではない」と強く感じるのは危険なサインと考えた方がよい。いずれも個人の価値観に基づき、他人の行動への負の感情の裏返しになっていることがあるからだ。「~すべきだ」とか「~するべきではない」という言葉には、「適切に出来ていない」とか、「不適切にしている」という批判が含まれているものだ。他人の感じ方や行動は簡単には変えられない。そして、変えられないことに腹を立てれば、ストレスが増す。

ビジネスパーソンなら仕事をしなければ生活ができないのは自明だ。しかし仕事を義務と捉えるか、機会と捉えるかで、ストレスの感じ方は大きく違う。「やらねばならない」ではなく、「できるかもしれない」とか「してみよう」と思うとよい。仕事を「やらされている」と感じるか、「自らやろう」と思うかは、ストレスだけでなく生産性にも大きな違いを生む。
大切なのは現実を直視することだ。上司の言うことは変わるものだということ。ストレスは自分の外ではなく、内にあるネガティブな感情だということ。それに対して、自分が何をするのかと、その気持ちも自分で選べること。ストレスに悩むことさえ自分の対応次第ということも。いずれも現実なのだ。

よく言われることだが、自分は変えられる。今回紹介した工夫は自分の心の持ちようを、生活習慣と同じように、変えていこうという試みでもある。スピードを求められる現代だからこそ、現実を直視して、できることは躊躇せず、どんどん実行していくのがよい。
次回は職場や家庭との係わりの中でできるストレス対処の工夫を紹介しよう。

2009年3月26日発売
人事担当者、管理職のためのメンタルヘルス入門
図でわかる、適切な対応ができる
亀田高志 著

詳細およびご購入はこちらから
亀田高志(かめだ・たかし)
(株)産業医大ソリューションズ 代表取締役社長/医師(HP: http://www.uoeh-s.com/
1991年3月産業医科大学医学部医学科卒業。日本鋼管病院勤務、NKK(現JFEスチール)産業医、日本アイ・ビー・エム(株)産業医、IBM Asia Pacificの産業保健プログラムマネージャーを経て2005年7月より産業医科大学産業医実務研修センター講師。2006年10月に産業医科大学による(株)産業医大ソリューションズ設立に伴い現職。企業のメンタルヘルス対策に関するコンサルティング、様々なメンタルヘルス研修会の講師に加えて、産業医科大学における企業向けメンタルヘルス対策支援事業を担当。
著書は『人事担当者、管理職のためのメンタルヘルス入門』(東洋経済新報社)。その他、日経ビジネスオンライン『事例で学ぶメンタルヘルスのツボ』、Work(リクルートワークス社)『健康経営のココロ』を共同執筆。

 

亀田 高志

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