格差社会の衝撃 リチャード・G・ウィルキンソン著/池本幸生他訳

格差社会の衝撃 リチャード・G・ウィルキンソン著/池本幸生他訳

格差、不平等というと、とかく所得の絶対水準格差にばかり目がいきがちだが、本書では健康格差、寿命格差をキーワードとしてむしろ主題にする。

経済発展によって所得が向上し、絶対的な物質欠乏が解消されると、「疫学転換」という健康指標の一大変化が起こる。たとえば、死亡率の上下は、乳幼児の古いタイプの感染症ではなく、高年齢層の心臓病やガンといった変成疾患が主要因になり、同時に、「贅沢病」は貧困層に広がり、心臓病や肥満の分布は富裕層と逆転する。また豊かな国になると、平均寿命は経済成長の変化に反応しなくなる。

本書は、平等が健康を促し、不平等は富める者も不健康にする現実を冷静なタッチで事例豊富に分析する。不平等は、富める者もストレスに満ちた人生に陥らせかねないようだ。

原著は2005年の刊行で、データもほぼ1990年代までのものに基づくが、その現在を見通した論証の確かさに驚かされる。

書籍工房早山 1995円

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