たばこ大手2社、「煙なき」戦い 市場一変の可能性も

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日本で成功すれば、「たばこベイパー」の世界展開に向けて大きな弾みとなる。ライリー社長は「日本におけるiQOSの成功は、この製品のグローバル展開を加速していくものと考える」としたうえで、現在の6カ国での展開から「16年末までに世界20カ国の主要都市で展開していきたい」と、積極的な展開計画を明かす。

対するJTは、2010年に発売した無煙タバコ「ゼロスタイル」が想定以上の反響を呼び、この分野での開発を進めるきっかけとなった。2013年の「プルーム」を経て、3月からは福岡市の約900店舗とインターネットで「プルーム・テック」の販売を始める。

従来の「プルーム」は、「iQOS」と同様にたばこ葉を加熱する商品。「プルーム・テック」は葉を加熱せず、葉が入ったカプセルを蒸気が通過し、たばこの味や香りが出るという異なる技術を用いている。現在「プルーム」は6カ国で販売しているが、日本では「プルーム」の販売を終了し、「プルーム・テック」に切り替える。

JTの小泉光臣社長は「5年先辺りを展望すると、たばこベイパー分野の伸びを非常に楽しみにしている。この分野に一層の販売促進投資をしていきたい」と語る。

ただ、JTでは「この分野は黎明期」(高橋正尚・EPマーケティング部次長)ととらえている。現状は「急いでマーケットを広げるのではなく、ここで得られる知見を次の製品にどうつなげていくかが大事」(同)というスタンスで、さらなる進化を目指す。PMIでも、他のRRPの開発も進めている。

普及の鍵

野村証券アナリストの藤原悟史氏は「喫煙人口が増えるわけではないため、どの程度の人が置き換わるかがポイント。まだ読み切れない」としながらも、「JTが本腰を入れてくれば、需要喚起になる。テスト販売で手応えが出てくれば、一気に攻勢に出るのではないか」とみる。

東京・飯田橋にある「トラベル・カフェ」。禁煙席には「iQOS ONLY」と表示されており、「iQOS」を吸うことができる。煙が気になり始めたiQOS利用者が禁煙席に入れることや、たばこを吸う人と吸わない人が、お互い我慢することなく同席することが可能となるなど、利用者のメリットは大きい。

2020年のオリンピック・パラリンピック開催に向け、日本では飲食店や公共施設での分煙・禁煙問題の解決が大きな課題となっている。分煙・禁煙問題解決の選択肢のひとつとして「たばこベイパー」の利用に弾みがつく可能性もある。

 

(清水律子 浦中大我)

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